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不思議日記  作者: 月乃葉
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電話の話

今回の話は電話にまつわる話だ。

携帯から聞こえるノイズ混じりの誰かの声。低く、淡々とした男性の声だというのはわかった。

テレビやラジオや動画でないのは確かだ。不在着信アリという表示を見て、その表示にカーソルをあわせて決定ボタンを押したのだから、留守電かリダイヤルのはずだ。

通話ボタンを押した記憶はないために、留守電なのだろうと私は判断していた。

声の主は誰かと会話しているようだった。元々の声の大きさやノイズのせいでほとんど聞き取れないが、何か説得しようとしているらしい。声を荒げることもなく、淡々と言葉を紡いでいく。

そのうちに相手を納得させられたのか、声に喜色が混じった。

とはいってもほとんどわからないような微かな変化だ。

私はここでやっとそれがおかしいことだと気がついた。

私は一言も発していないのに"会話"が進んでいくのだ。

ぼんやりとおかしいなぁと思いながらも、寝ぼけた私はその声を聞き続けていた。

数分間、淡々と会話を続ける声を聞き続けていたのだが、そこでまたあれ?っと思った。

留守電にしてはあまりに長いのだ。通常、留守電ならば数十秒程の再生時間しかない。通話にしても、声は1つしか聞こえないのに会話が進むのはおかしい。しかも、明らかに会話相手以外が聞いているなんて考えていない様子だ。

怖くなって携帯を耳から離すと声は当然聞こえなくなる。しかし、そこで私は恐怖した。そもそもの話、携帯の電源は切れていたのだ。電池切れではありえない。充電機に繋いだままなのだから。電源ボタンにも触れていない。古い機種故に長押ししないと電源が落ちることはない。

では今まで聞こえていた声はなんだ?

部屋の壁越しに外の声が聞こえたのか?

ならば、携帯を耳から離しても聞こえてくるものだろう。

ちょうどそのタイミングで通話が終わったのかとも思ったが、聞こえていた声は新しい話題に入ったところだった。通話が終わるにはおかしなタイミングだ。そんな話半ばで通話を切るような雰囲気でもなかった。

そこでまた気がついた。電源の切れた携帯の画面に、なぜ不在着信の表示なんてあったのか?

私の携帯は、不在着信があったときは画面隅に不在1とか書かれた緑色の受話器のアイコンが出るだけで、黒い帯に赤い文字で不在着信アリなんて表示がされるようなものではないのだ。

もちろん電源が入っていないのに表示されることもない。


この妙な事態に冷汗をかきつつ恐る恐るもう1度携帯を耳にあてるが、何もきこえては来なかった。

留守電履歴を見ても、ここ数日で入った留守電はない。

着信履歴のほうも、私が寝る前に確認したあとは1本もなかった。


結局あれが何だったのかはわからず終いだったが、その不可思議な現象は、今でも時折体験している。

聞こえる声は毎回違い、男性だったり女性だったり子どもや老人だったりと様々だ。毎度ノイズ混じりで、会話相手の声も聞こえないが、雰囲気だけは楽しそうなことが多い。

原因も原理も不明で最初は怖かったものだが、雰囲気につられてか私もなんだか楽しい気分になってくるので、今ではそれが起こるのを期待していたりもする。


これが私の電話にまつわる不思議な話。




どうだっただろう?

ほんの少しでも楽しんでもらえただろうか?


楽しんでもらえたなら重畳だ。楽しんでもらえなかったなら仕方ない。


また、不思議な体験を思い出したら筆をとることにしようと思う。

興味があったら覗いてみてくれると嬉しく思う。

ではまた、いずれかの物語で会えることを祈る。

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