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義雪伝外伝 縁の下戦記  作者: 戦国さん
第一章 農村の少年
4/7

魅力的な誘い

連続投稿ラストです。

今回の内容は義雪伝では見れないカオスな内容に(笑)

まぁ、前話でちょろっと最後等辺にその片鱗は見えてましたが(笑)

気を失った左平は、あの後昼間の寺に連れてこられていた。

「…痛っ、結構手荒な招待ですね」

頭の痛む場所を撫でながら悪態を吐く左平。

「いやいや、すまんかったのぅ。菊奈達には

くれぐれも穏便にと言ったのだが……」

忠利は左平に不手際を謝罪し、後ろに控えている娘達を睨めつけた。

「……ごめんなさい」

「「ごめんね☆↓↓」」

忠利に注意された娘達はそれぞれ左平に謝罪の言葉を伸べるが、無表情な娘はともかく、その後ろにいる同じ顔をした娘達は全く申し訳なさそうにはしていなかった。

(あの時の影からの声はこの少女達だったのか……気絶させたのもこの少女達か?…それにしても同じ顔って事は双子か?……初めてみるのぅ)

正直、この国において双子と言うのはかなり珍しい。

何故ならば双子は畜生腹などと言われ基本的には忌み嫌われる存在だからだ。

元々そんなに数多くいる存在でもないのに更に忌み嫌われもしているのだ、大概が生まれてまもなく良くて片方、悪くて両方殺されてしまう。

もう一度言おう、双子に出会うのはかなり珍しいのだ。

あまりそういった差別を左平はしないが、珍しい物は誰だって珍しい。

左平の好奇心や探求心は兄に負けない高い。

故に失礼であると思いつつもついつい珍しくて双子をジロジロと見てしまう左平だった。

「ふふ~ん。萌鳥さんや、なんか左平少年が私達をずっと見てくるよ~」

「はは~ん。魅鳥さんや、こいつは思春期少年に良くあるという一目惚れというやつだねぇ~」

「「でも残念だね☆左平少年は好みじゃないのさ↑↑↑てへぺろ♡」」

「………で、何故わしをここに連れてきたんですか?」

「「しどい!なんか軽く流された!?」」

とりあえず話に付き合うと色々面倒だと思った左平は双子の話を流すことに決める。

そしてまだ痛みは感じるものの、大分楽になってきたので早速左平は連れてこられた理由を聞いてみた。

「なにもそなたに危害を加える気は無い、そんなに警戒せんでもええ。……ただ重要な話があってのぅ、邪魔の入らない場所で話したかっただけじゃ。菊奈、左平とわしにお茶を頼む」

「……はぁ、重要な話?」

「うむ、まずは話の先にわしの素性をちゃんと名乗ろう。わしの名は恒坂焉綜。忠利の名でも通っておるが基本は焉綜と名乗っておるな。乱世を終わらす若い優秀な人材を発掘し育てる為各地を転々としている。因みにこの娘達は皆わしが各地で拾って育てた者達じゃ。今お茶の用意をさせにいった娘が菊奈で、後ろの双子が右から萌鳥と魅鳥じゃ」

そう焉綜が娘達を紹介するとそれぞれ左平に一礼をした。

例によって例のごとく、相変わらずのふざけた一礼であったが。

「……で、ここからが本題なのじゃが……率直に言おう。お主、わしの弟子ならんか?」

左平達の周りの空気が一気に変わった。

左平は思わず息を呑む。

目の前にいる老人はさっきまでの好々爺な雰囲気の人物では無くなっていたからだ。

その顔からはさっきまでの笑みは消え、一転真剣な面立ちとなっている。

(まるで巨大な山のような虎に見られているようだ)

全身に満遍なく汗をかく。

正直息をしているのもやっとの状態だった。

(……なんじゃ、この威圧感は!?)

辺りが無音になる。

正確には野鳥や虫、風の音などもあり無音ではなかっただろう。

しかし左平にはこの時が無音かつ万の時に思えていた。





トンッ

目の前に置かれたお茶の音で無音はかき消され左平も我に帰った。

「…父上、左平殿が畏縮してる。」

「……ん?おお!すまん、すまん。つい、大人を相手にするように接してもうたわ。…しかし…だ、わしの真剣さは伝わったと思う。どうじゃ?わしの弟子にならんか?」

再び好々爺の顔に戻る焉綜。

それに伴い辺り雰囲気も軽く穏やかになる。

(さっきまでの威圧感は…?……この爺さん、ただ者じゃないのぅ)

とりあえず目の前に出されたお茶を飲み左平は冷静に考えてみることにした。

(…いや何を考える必要がある。わしの答は決まっとるではないか)

そして静かに飲み干した茶を置き答える。

「…誠に嬉しい誘いではありますが、お断りさせていただきます」

「「えー!なんで!?」」

焉綜は左平の答えに驚く双子を手で制止する。

「……ふむ、理由を聞いてもいいかの?」

「まず最初にこのお誘いは誠に興味深く、魅力な物とわしは思っております。しかし、わしには兄志郎、妹千穂という大切な家族がいます。今わしが恒坂殿の弟子となり家を出て行けばその大切な家族に負担がかかる事となりましょう。故に誠に残念ですが、お断りもうします」

左平は深々と焉綜に頭を下げた。

「ならば、その大切な家族…志郎と千穂、と共にならどうかな?」

焉綜は顎に蓄えた髭を扱きながら、左平にそう提案する。

「よ、よろしいのですか?」

「構わんよ、こう見えてもかなりの財をわしはもっておるぞ。ここにいる菊奈、魅鳥、萌鳥以外にも沢山の才ある若者を養っておる。今更一人二人増えた所で問題ないわ」

(それにそなたの兄は兄で才ある者だしのう)

左平は少し考えた。というか答はとうに出ていた。

この話、左平にとってあまりにも魅力的な話だ。

しかも懸念材料というか、左平を渋らせていた家族の問題もこれならば片が付く。

左平にこの話を断る理由はなかった。

「…では、よろしくお願いします」

「うむ、よろしくのう。左平」

「「やたー☆左平っち仲間入りーーー!!」」

思いっきり左平に飛びつく双子。

「ちょっ、はなれんか!」

双子に抱きつかれた左平は顔を真っ赤にして二人を引き離そうと必死に抵抗した。

「「照れるな、照れるな。もちっと近こう寄れ♡」」

「ふぉふぉふぉ、若いのう。今日はもう遅い、近くまで菊奈に送らせよう。親とは明日朝わしが出向いて話をつける、よいな?」

「は、はい、わかりました。」

そう言って双子を引き離した左平はそそくさと菊奈を連れて帰路についた。


一方その頃、左平の家に来訪者が来ていた。

旅商人風の男であった。

「よう、弥太郎」

「なんだてめぇか」

「何だとはひでえな。せっかく頼みだから来てやったのによう。で、これが例の?」

「ああ、どうだ?」

「なかなかいいね、高く売れるよ。はい、金だ」

「へへ、ありがてえ」

男から貰った袋の中身を見て満足な弥太郎。

その夜、左平の家からとある物が持ち去られたのだった。

どうでしたか今回の双子カオスは?

双子を含め何人かは時代関係なしのしゃべり方、雰囲気をもつキャラを出そうと思ってます。

ちなみに双子はとあるキャラを意識して書いてますが、これがわかった人は作者と友達になれますね(笑)

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