前世はクソニートだった俺が異世界転生したらこの世界に一つだけのスキル『ギャンブラー』を手にして爆死する。~俺の心のパチンコ台が冷めるまでこの世界にオールベットしようと思います。~
短編編です。
連載編の1,2話載せました。
連載編が気になったらどうぞ。
人生とはギャンブルである。
人々は物事を決める際に必ずしも決断をする。
それによってはこの先の人生が大きく変わることになる。
しかし、人々は普段から自分の人生に対して何かを賭けているのに
ギャンブラーへの心理的に距離を置きたがる。
パチンコ、スロット、オートバイ、ボートレース、競馬...
金を賭けては一喜一憂を繰り返す。
そんな毎日...
「なんなんだぁぁ!この台はぁ!!」
朝の七時近く、小鳥がようやくさえずり始めたころ、
開店直後からパチンコを打っている男がいた。
「この台もぉ!!!、あの台もぉ!!!、全部が全部ふざけてやがる!」
彼の名前は金条賭博きんじょうとばくという。
金髪にがっつりピアスを開けているが、陽キャになるのを失敗した感が強い男だ。
どんな無理難題でも後先考えずに行うため、とても損をしている。
そんな彼が打っている台は、新しくこの店に入ってきた新台で、
出玉があり得ないほど出ると話題になっていたものだ。
「期待して損したぁ~!リーチも出ないなんて.......」
そんなことをつぶやく金条だが、もうすでに消費者金融に借りた金を
すべて溶かしてしまった。
借金合計8000万、正攻法では到底払えない額に来ている。
このままでは、いつグラサンをかけた怖いお兄さんたちが
金条の家に突ってきてもおかしくはない。
だからもうパチンコで勝つしかない。
勝って、勝って、勝って、お金を倍にするのだ。
「あんまりだぁぁぁぁ!!」
金条は自分の金借りた金をたんまりとため込んだ台をにらみつける。
「おまえがぁ...お前が吐き出さないからだぁぁぁぁ!」
人はギャンブルに負けると大体は狂人化する。
例えばパチンコ店の前で泣き叫ぶみたいな感じだ。
すべてを失った....そんな喪失感が精神を蝕む。
あーしとけばよかったなどと思い考えるのはもう遅い。
負けた瞬間、人は敗者に成り下がる。
「まぁ、いいか....金ならまた借りればいいし。飯にするか。」
そんなことを言うと、ムックっと立ち上がり、
吸い込みがすごい台と遭遇したせいか、機嫌が悪そうな顔をして店を出た。
まだ時間は午後に行っていない、12時手前くらいだ。
金条は先ほどのパチンコ店近くの定食屋で昼食をとっていた。
「あの台は、ぜってぇ詐欺だ。たらふく球をため込んでやがる。」
そう愚痴を吐きながら食べているのは、もやニラ炒め。
文字通りもやしとニラを炒めたちょっと貧乏くさい料理。税込み200円。
「絶対に一回はリーチ来てもいいだろ...クソが!」
勝てないと褒美は来ない。勝てないともやニラが待っている。
それがまた金条をギャンブルに沼らせる要因でもあった。
「......行くか...。」
そう言うとトレーや食器を片付けて、定食屋から出た。
外に出るとさっきまでの晴れ空から変わり、雲が空を覆っていた。
全体が黒いような、雨が降りそうな雲だ。
「.......しめた!」
何か気づいたのか、金条は一人で淡々と語りだす。
「こんなじめじめしてれば、台の回転数が上がるんじゃねぇか!?」
....実に個人の感想だ。
確かに感覚的ではそうかもしれないが、日々メンテナンスを重ねている台に
そのようなことが起こるのは少ないといえるだろう。
「そうと分かれば...レッツパチンコ~!!」
そんなことも考えずに走り出した金条だったが、
この選択が自分の死に直結することをまだ彼は知らない。
確かに湿度の影響でパチンコ台に変化があった。
それは.......
「おいおい!なんでこんなに球が入らねぇんだよ!!」
湿度の影響なのか、それともただの思い込みなのか、
ボールが釘に当たってもスルスル下に落ちてゆく。
「だ....ダメだ.....おしまいだ。」
なんとみじめなことだろうか。
金条の姿はまるで飛んで火にいる夏の虫。
来なければ済んだ話だったはずだ。
金条はその調子で金をどんどん溶かし…
「な、ない。......か、金が.........」
見事に使い切った。
財布を見てもレシート以外何もなく。
漫画だったらとても悲しい音が聞こえてきそうだ。
「くっ......これもすべてお前のせいだ!!」
金条はそう言ってさっきまで売っていたパチンコ台に目を向ける。
とても分かりやすい他人のせいの例である。
「クソがっ!....もういいわ。」
そう言って店を出るため歩き出したが、その足は止まる。
見てしまった。さっきまで自分が打っていた台に誰かが新しく来たのを...
その男はボタンを押して、パチンコを打ち始めてしまった。
(かわいそうに....あいつは爆死する…俺同様に....)
まるでライオンに追われている子供のシマウマを見るような目で見ていた時
まるで錆びた機械が修理によって百年ぶりに動き出した、
そのような達成感あふれる音が聞こえた。
ギュルルルン!!
「あ、来た。当たったわ。」
その声の主は今まさに打ち始めた男のものだ。
そう、それはすなわち当たった台は金条がもともと打っていた台を指す。
それを聞いた金条は.....
「ふ、ふ、ふざけんじゃねぇぞぉぉぉぉぉ!!!!!!」
ついにどこの誰に向けて咆哮しているかも分からなくなった。
金条自身は知らなかっただろうが、あの台は潜伏状態だった。
つまり大当たりは確定していた状態だったのに、金条が自分の手で手放したのだ。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
止まらぬ後悔。あと少し耐えていれば.....
「ふざけんなよな!このくそ台が!!!
あともう少し.....あともう少しだったのにぃぃ!!!」
これで決まった。
あの男が勝ち組で自分は負け組なのだ。
すべてはあの台にゆだねられていたも同然。
金条はあの台の手の上で踊らされていたのだ.....台に手は無いけど....
「があ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁ-----あっ。」
そろそろ店員さんに怒られるかの瀬戸際になった際。
金条の頭で何かがプツンっと切れた。
金条はその正体を知らない、てか知れない。
なぜかって?
それは彼がもうパチンコ店の床という安価なベットで永眠についたからである。
「......ん?....ここはどこだ?」
金条は目を覚ます。
つい反射的に周りを見渡すと、あたりは何もない真っ白な空間だった。
「.......へ?」
さっきまでパチンコ店にいたはずだ。
金条は考えを巡らせる。今まで生きてきた以上に。
そしてたまには察しの良い彼は一つの結論にたどり着く。
「おれ........死んだ?......」
その通りである。いままさn....
「その通りである!!!!」
ナレーションをつぶすように発せられた空気の読めない声は
金条の真後ろから聞こえた。
恐る恐る振り返るとそこには.....
「おっほっほ!災難じゃったのお主。」
仙人のような長いひげに、仙人のような杖を持っている老人が立っていた。
そう、仙人である。
「誰だあんた?」
「あぁ、わし?....わしはお主が生きている世界の神様じゃ。」
まぁ確かに。そう言うしかない格好で納得はできる。
「おぬしまさかギャンブルでのストレスで、
血管が切れて死んでしまうなんて.....本当に災難じゃ。」
いきなり災難と言われても困る金条は
「あの~。災難、災難言ってもらって同感してくれるのはうれしいんですけど...
まだちょっと親のすねかじっていたいんで、生き返らせてくれたりしますか?」
金条は今自分が思った正直なことを神様に言った。
多分神様なんだから生き返りとかもお茶の子さいさいでやってくれるだろう。
「....え?....当然無理じゃよ?....」
即答で断られた。
「マジでお願いします!現世に返してぇぇぇ!!!」
駄目だとわかると強硬手段。
大の大人だが、足にしがみつき懇願する。
はっきり言ってダサい。
「え?そこまで?...う~ん......そうじゃな....あ!あれをしてもらうか。」
『あれ』?
なんかお使いかな?
「お主、今からわしが言ったことを行えば生き返らせてやろう。」
「本当ですか!!!.....で、その内容は?」
「ふっふっふ....それはの……
それは......?
お主には異世界に行き魔王を討伐してもらう!!」
「.......へ?」
思わず「へ?」の第二号が飛び出した。
「待って待って!」
「生き返りたいんじゃろ⁉...もう待たぬぞ!
スキルはお主にぴったりのを用意しておいたから頑張るのじゃ!」
そう言うと金条の足からだんだん上に向けて透明になっていっている。
飛ばされかけているのだ。
「......!..分かった!分かったからスキルだけ教えてくれ!」
「いいだろう.......お主のスキルは『ギャンブラー』じゃ!」
ギャンブラー.....その言葉は異世界でもギャンブルをすることを意味する。
「お、おい!まてっ!」
「では行ってまいれ!」
金条は最後に聞きたかったスキルの説明ことを聞けずに異世界に旅立たされることになった。。
いろいろなことがあったが彼はこれから想像を超える人生二週目を歩むことになる。
そんな金条だがこの旅がとても長くなることを彼はまだ知らない。
あの仙人のような人に飛ばされてから体感5秒後。
金条は今回2度目の目覚めとなる。
「.....ん?....はっ!」
金条はさっきまでいたあの場所では絶対に感じることはない太陽の光で起きた。
「チッ!あのクソ仙人がっ!」
怒るがもう遅い。
そんなに行きたくなければ、もっと抵抗すればよいものを.....
「.....あのへんなとこじゃない.....やっぱ異世界に来ちまったのか?.....」
やはり察することだけは早い金条は、そう思い周りを見渡すと......
「.........!!!!!」
金条の目に入ったのは、生い茂る森林、洋風な街並み、雲から流れ落ちる滝、
宙に浮く大地、空を飛ぶドラゴン、そびえたつ王城....
見ただけでわかる。
もう自分がいたギャンブルにありふれた世界とは違う。
異世界。
その雄大な景色に息をのみながら彼は決心する。
「.......消費者金融に金返さねぇと..........」
◇◇◇◇
そんなのんきなことを呟いたこの物語の主人公の金条、
彼はとても運が悪いのかもしれない。
まず最初のスポーン位置から運が悪い。
彼がいるのは最も近い街から6キロも離れている森の中。
彼が現世にいたときは、家から半径500メートルから外は出たことがなかった。
それ故に彼は方向音痴である。
「.........あれこっちか?......いや、あっちか?」
全人類はこれを見たらわかるだろう。
引きこもりのパチンカスを森に放してはいけないと。
「.....えーと...さっきあの丘の上であの方向に町があったから......」
頼む急いでくれ。この物語は街に入らないと始まらないんだ。
「一回休憩でもするか。」
そう目の前の泉を見て言う。
「ん~、っは!歩き疲れたわ。」
背伸びをしながらそう言っているが、ここは街から5キロメートル地点。
全然進んでないにもほどがあるが、
彼は明らかに一仕事を終えた顔で泉の水に目を向ける。
「.....あれ、こういうとこの水って危険なんだっけ?......まぁいいや。」
明らかによくないだろう。
このまま飲んでしまうと彼は胃や腸に細菌の影響で激痛が走り、
最悪の場合人生二週目が終わることになるだろう。
そうも知らずに飲もうとする金条。
この物語も2話で終わりかと思っていたが、
幸運なのか不運なのか彼はその泉の水が飲まなくて済む。
「........ん?」
水に口をつけようとした瞬間、唇に何か固いものが当たる感覚がする。
木だと思った金条が腕で払ったが、逆に金条の腕に痛みが走る。
「いっっ.......てぇぇなぁおい!!マジで何n........!!」
その瞬間彼は体に電気が走ったように硬直する。
なぜなら彼は見てしまったからだ。
目の前にたたずむ岩の皮膚を持ったワニを.....
「........ぎ、ギャァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
まさに光の速さぐらいのスピードでワニから離れた金条は後ろも見ずに走り出す。
「死ぬぅ!死ぬぅ!死ぬぞこれ!!!!」
対してワニは金条が腕を払って当ててきたのを
攻撃されたとみなし金条を猛追している。
その姿はまるで岩が自分に向けて猛スピードでゴロゴロと転がっている感じだ。
しかも極め付きに歯。歯だ。
鍾乳石のように鋭く作られた岩の歯がさっきからガチガチと音を立てる。
そんな化け物に追われている金条だがもうほとんど体力がない。
今にも走っている足がつりそうだ。
「何か.......何かないのか⁉...」
そう考えていた金条はあることを思い出す。
「..........あっ。俺スキルがあったわ。」
そんな重要なことを今思い出す金条。
しかし、スキルを使おうかと考えたが
金条はスキルの説明をされてないのでためらった。
もし使い物にならない力だったら......
彼の体が恐怖に染まる。
しかしその反面体から湧き上がる何かがある。
『ギャンブル』
けどこんな命がかかったのは初めてだ。
そんなギリギリな状態の彼は勢いと経験で叫ぶ。
「........いいよ、やってやるよ.....来い!スキル『ギャンブラー』!!」
..........................終わった。
何も起こらない。
目の前には大きく口を開けたワニ。
ゲームっだったら大きく『GAME OVER』の文字が出てきそうだ。
そんな状況下、幻聴か、それとも金条の走馬灯だったのかはわからない。
ギュルルルン!!!!!!バッバババーン!!!!!!
いつも前世で聞いていた懐かしい音が鳴った。
なぜ今更パチンコの当たり音が聞こえたのかはわからない。
ただ何かが変わる、そんな気がしたが.........変わるわけがない。
金条は恐怖で動けないのか、はたまた腰が抜けてしまったのか......
今まさにワニが金城をかみ砕こうとした瞬間.......
「...........ははっ..........おせぇよ。このクソスキルが!!!!!!」
そう言い金条は拳を引くと、
パコーーーーーン!!!!!!
ワニを殴り、快音を鳴り響かせた。
殴られたワニは、山を越え、キラーンッ!となりそうなほど飛んで......ではなく
三メートルほど飛ばされ、仰向けになって気絶していた。
「......っぶね!....時間ギリギリだったな。」
そんな彼の手にはボクシンググローブのような
手にはめる系のアイテムをつけていた。
なぜあの岩ワニに勝てたのか........
それは3秒前に戻ることでわかるだろう。
「........いいよ、やってやるよ.....来い!スキル『ギャンブラー』!!」
そう言った直後だ。
頭にノイズがかかったみたいに意識がもうろうとする。
突然のことだったが、そのまま金条は意識を失った。
ガバッ!
体感30秒といったところだろうか、金条は目を覚ました。
「..........あぁ、たっく、また死んだのかよ?」
あたりを見渡すとあの仙人といた時のような、真っ白い空間が広がっていた。
「あのワニ初手から強すぎるんだよな.....もうちょっと加減しろよぉ。」
そんな弱音を吐いている金条だったが、彼はある奇妙なものを発見する。
「.....ん?なんだあれ?」
この真っ白な空間にそぐわない、着色された何か......
遠くからではあまり見えないため、近づいて確認してみようと歩き出した。
なぜかワニに追われていたのに、体は疲れてはいなかった。
否、疲れているのだろうけど、興味が金条の体を動かしているのだろう。
やがて近づくとその正体が分かった。
「..........はぁ?..........レバー?」
レバーがあった。肉のほうではない。
金条は何度も確認したがそこにはレバーがあった。
黄色い棒の先に握りやすく赤い球体がつけられていた。
もう明らかにこのレバーを下げろという主張がしたが、
何が起こるかわからない......慎重にi
「まぁ、もう死んでんだから大丈夫だろ。」
そこは慎重に行こうぜ.........
そう言い金条はレバーを下げた。
するといきなり周囲が光りだす。
「うわっ!まぶしー!」
まるでいきなりスポットライトに当てられたようになり、目をつぶる。
本当にいきなりだったので、目がシャバシャバしてきたが、
薄目で周りを見るとそこには......
「......................は?.........パチンコ?」
自分の左右にパチンコ台がずらっと並んでいた。
「なぜにパチンコ?」
そう疑問に思っていると、後ろから澄み切ったような高い声が聞こえた。
「それは、主カスタマーのスキル『ギャンブラー』の影響です。」
「わっと!.......誰だっ!」
ガバッと振り返るとそこには見知らぬ女性が立っていた。
「申し訳ございません主カスタマー......突然の発言でご迷惑をおかけしました。
私の名前はシエラと申します。
主カスタマーのスキルを補助する役目を預かっております。
え~、精霊と思ってくれて結構です。以後お見知りおきを......」
「..........おっ、おう。」
そう言って金条の前にシエラと自称した女が現れた。
見た目的に160cm後半だろうか?
女性にしては身長が高い。
また、髪は銀色で長さはセミロング程度だに見える。
それを後ろに流しているのでとても凛々しさが感じられる。
そして特徴的なのは目だ。
右目が赤で、左目が青という特殊な目.....オッズアイだった。
またまた......
「...あのーよろしいでしょうか、ナレーターさん?」
おっと、シエラの紹介をしすぎて彼女から怒られてしまった。
「あーごめん。うちのやつが.........」
と言い金条は両手を合わせ、顔を下げる。
「いえ、特に気にしていないので.........」
あっ、そうでしたか。
なんとでもないと話すシエラは、こほんっと一つ咳払いをして話始めた。
「困惑している様子なので、まず主カスタマーのスキルから
していきたいと思います。まず『ギャンブラー』ですが、基本性能として
主カスタマーも見た通りギャンブルをします。」
「やっぱこっちの世界でもギャンブルすんのか..........」
あの仙人クソじじいのせいでと思っている金条だがまんざらでもなさそうに......
「で?俺はパチンコをしろと?どうやって?」
そう金条はパチンコ台を指さしながら言った。
「はい、そういうことになりますね.....しかしこれはお金を賭けません。」
「えっ!?じゃあ無料タダじゃん!」
そう金条が顔を輝かせながら言うと、
シエラは真剣な....とても重要そうなことを言いそうな顔をした。
「いえ.......賭けるのは......主カスタマーが大切にしているものです。」
「.........んん!?....は⁉......どゆこと?」
顔がへのへのもへじ状態の金条がシエラに問う。
「はい。だから大切なものです。
例えば.....物、時間、友情、体調........愛とかですね。
別に大事にしているなら資産でも結構です。
賭ける量が多ければ台にも特典が付きます。
しかし今は時間ぐらいしか賭けられないので.....」
「....い、いや言いたいことはわかったよ。
けどさっきのものとかを賭けるとどうなるのさ?」
「そうですね......そのもの自体が消費します。
例えば先ほどの時間ですが、1分を賭けたとしましょう。
そしたら、今いる世界で一分間消費されます。これを見てください。」
そう言うと、シエラはタブレット端末のようなものを取り出し金条に見せた。
そこには石のワニに食べられそうになって白目をむいている金条の姿があった。
「まず主カスタマーがスキルを使用すると気絶して、
この精神世界....言い換えれば心の世界に飛ばされます。
なので、ここ精神世界での主カスタマーの意識はあっちの世界とリンクしています。」
とシエラは端末を指さした。
「えっ、待ってあっちで死んだら.......」
「死にますね。」
「詰んだぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!!」
そう金条はやけくそに叫ぶ。
「安心してください主カスタマー、こちらの世界にいた状態で
『時間』を賭けない限り、時間は進みません。」
「そうか‼じゃあここにずっといれば.......」
「いや、ここに食べ物などはありませんから不可能です。」
「えっじゃあ何?ただパチンコするだけなのこのスキル?」
そう金場が戸惑っていると、
シエラは奥にあるカウンターのようなところを指さして言った。
「それについてはあの商品取引所があるのでご安心を..........
まず、パチンコでの賭けに勝つとこのピースというものが手に入ります。」
そう言うとシエラは手の中にある小さい正方形状の薄い金色の板を見せた。
「賭けの代償によりもらえるピース量が増えたり、減ったりします。
ちなみにこのピースを使っても賭けはできます。
そしてこれをあの商品取引所に持っていくと、
そのピースの枚数分に見合った商品と交換できます。」
「.............例えば?.....」
「意外と何でもありますよ......食べ物、魔導書、武器、道具、生物などですね。
大体この世界や、別の世界、妄想などで考えていそうな物は全部あります。
また、交換したアイテムは精神世界外に持ち出しが可能です。」
あれ?意外と便利じゃないかこのスキル?
もし、当たりを引けば.........
「......あのワニを倒せるかも........」
「はい。そういうことです。
なおワニが主カスタマーを食べるまでに必要な時間はあと3秒。
3秒きっかりだとだめなので、賭けられる時間は2.5秒くらいです。」
「はっ?短すぎない?」
そう困惑している金条だったが、次のシエラの言葉で決意を固める。
「このままだったら童貞のまま死にますよ?」
「やるっきゃねぇな!」
そういって金条は目の前のパチンコ台に向かった。
とりあえず適当な台の前に座った金条は台を確認する。
「.....ん~~~。この台は賭ければ賭けるほど当たる確率が上がるか.......」
まぁ、とりあえず最初だからここにするかというテンションで金条は台を決めた。
「........まぁ、手始めに..............『0.1秒消費 』」
ピロン!という音を発し、台の右下には『100』という数字が表示される。
(なるほど......0.1秒では100ピース分ってわけだ。
10秒とか賭けると10000ピースになるってことか......)
そう考え金条は台と向き合う。
この台は甘デジ{当たり確率が高いが、当たりがちっぽけ}だ。
時間がなく、かつかつなためこうするしかない。
世の中には、だからこそミドルスペック[甘デジと逆性能]にしろという
ギャンブラー精神を持っている人がいるがそこまで金条は廃人ではない。
抑えるときは抑える。チキるときはチキる。
それが金条賭博という男である。
「さてと.......やっていきますか。」
こうして金条は最低ベット数の25を賭けた......
ジャガジャガジャガジャン!タララン....ハズレぇ~
軽快なBGMが鳴ったかと思うと、この台内で登場する女の子がハズレを報告する。
並んでいる数字は、『7』『8』『7』
一見普通の人が見たら「おしぃー」や「あともうちょっとじゃん!」と
思うかもしれないが、こんなこと日常茶飯事である。
ギャンブラーなら分かる..........これがパチンコである。
「おしぃ~!あともうちょっとだったのに.....」
......前言撤回をしよう。人間なら誰しもが言うことだ。
「おい!ふざけんなよ!」
金条は目の前の台にそう叫ぶ。
そう彼は甘デジなのに負けている。惨敗だ。
もともと2.5秒使えた時間が今はあと残り、0.3秒しかない。
2.2=2300ピース=92回プレイ
この台は左上に書いているが確率1/45の超甘デジ。
すでに2回当たっていてもおかしくない。
「なんで...........なんでなんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
そうしてキレ散らかす金条に一つアイデアが浮かぶ。
「........そうじゃん!ピースを払い出せばいいんだ!俺天才!」
そう思いルンルンな状態で払い出しボタンを押すが.......
ブッ!
「は?」
払い戻しができなかった。
「当然です。それじゃあつまらないでしょう?」
後ろから見透かしたような声で話してくるのはシエラ。
「そういうズルができないように、
最初にピースに変えたものは払い出しできない仕組みです。」
なんだそのクソシステム.......
そうして絶望した金条。
「もういいよ。やめやめ!」
羽を伸ばそうと手を伸ばした瞬間、誤って台のボタンに触れてしまった。
「あっ。」
回転する絵柄。どうせ当たらないと見ていると。
『3』..........『3』........................................『3』。
「え?」
ギュルルルン!!!!!!バッバババーン!!!!!!大当たり~!!!!
楽しそうな音楽が流れ当たりになった。
「..................................死ねよ.............」
ギャンブルは割と欲を出してないときに当たるものだ。
金条は全部で5000ピースを払い出し、商品交換所に向かった。
ようやく着いたと思ったとたん、シエラが色々とカウンターの下から取り出す。
「すいません。5000ピースで攻撃系で使えるのはこれぐらいしかないので......」
取り出されたのは銃のようなものと、パンチンググローブのようなもの、
そして剣のようなものだった。
「あっ、じゃあパンチンググローブで。」
「は、早いですね主カスタマー........理由をうかがっても?」
そう驚きの速さにドン引きしながら尋ねると、金条は淡々と話し始めた。
「えっ?.....だって銃はビビりすぎて焦点が定まらないし、
剣は長いから扱いにくそうだから.......う~ん、消去法で?」
「..............ダサッ........」
シエラはぼそっと言ったが、金条にはバッチし聞こえていた。
「あ~、いけないんだそういうこと言っちゃ‼
そういう女の子はモテな......モゴッ!!!!」
とても嫌なことを言われる前にシエラは、グローブで金条の口をふさぐ。
「お値段4000ピースです‼....お釣りはバンクに入れときます!!
ご来店ありがとうございましたッ!!!!」
とても一方的に言われた金条だが、彼女の挨拶を聞いた途端に眠気が襲ってきた。
彼はそれに逆らうことなく眠りに落ちていった。
「......っぶね!....時間ギリギリだったな。」
これがこのワニに勝てた理由だ。
結構ぎりぎりだったが間に合ったことにほっとした金条は地面に倒れる。
「っぶねぇ.......ガチで......」
ワニは起き上がる気配がしない。
そんなワニを眺めながら金条はあることを思い出す。
「..........あれってファーストキスに含まれるのかな?」
こうして彼の珍道中は続いていく........................
はたして彼は普通の生活を取り戻せるのか?
ブックマークetc...でやる気出ます。




