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白ふくろうは人狼と二人で空中庭園の中にある白いベンチの上に座ってます。(そこからはとても美しい空中庭園の色とりどりの季節の花が一緒になって咲いている、とても幻想的で不思議な風景が見えました。空中庭園は春園、夏園、秋園、冬園といったように花の咲いている場所がわかれていて、その場所にはそれぞれの季節の花が咲いていました)
二人の座っている距離はとても離れていました。白いベンチのはじっことはじっこです。(白ふくろうが逃げるようにはじっこに行ってしまって、人狼も三日月に言われて、反対側のはじっこに座りました)
太っちょの白い天使猫の三日月は白ふくろうのところではなくて、人狼の膝の上にいました。(そんな、いつもなら白ふくろうのところにくるはずの三日月を見て、裏切り者と白ふくろうはほほを膨らませながら思いました)
この場所に風花十六夜の姿は見えません。十六夜は約束があると言って、空を飛んで大天球のどこかに行ってしまいました。
人狼は天使が空を飛んで行く姿を初めて見て、とても驚いて、そして、とても感動しているみたいでした。(人狼の十六夜を見る顔を見るだけで、それが白ふくろうにはわかりました)
人狼は十六夜の姿が空の中に見えなくなるまで、ずっと十六夜のことを見ていました。
空中庭園には優しい風が吹いています。白ふくろうはずっともじもじとしています。
人狼はどきどき、そんな白ふくろうを見ながら、自分の膝の上にいる三日月の体を優しく撫でていました。
背中に白い翼のある言葉をしゃべる天使猫。
その姿は、とても神々しく見えました。
「翼に触ってもいい?」と人狼は三日月に言いました。「いいよ。でも、乱暴にはしないでね」と三日月は言いました。
人狼は三日月の白い翼にそっと触れてみました。
その柔らかくて気持ちの良い感触は、まるで絹のようでした。白い翼に触られて、三日月は気持ちよさような顔をしています。
人狼は白い翼に触れながら、……、背中に翼があるって、どんな気持ちなんだろう? さっき空を飛んでいった十六夜のように、空を飛びたいって、そう思うのかな? って、そんなことを思っていました。