98. クヌストール
翌日、俺達は補給物資を運ぶ冒険者を護衛しながらクヌストールに向かった。
「なあ、クリス。いつ頃着きそうだ?」
「予定では五日後となっています」
「そんなにかかるのか」
「ルーク様は異常なんですから、まったく。これでも早い方です」
昨夜は食堂が閉まってしまいまともな夕食が食べれず、少し不機嫌なクリスが丁寧に説明してくれる。不機嫌そうな顔をしていると年相応の少年という感じがする。
「クリス、魔物だ」
「私が行きます!」
そう言うとクリスは魔物に向かっていった。そこに居たのは群れからはぐれた個体なのか、単体だったのでクリスが難なく討伐する。
「血の匂いを嗅ぎつけて魔物がやってくる前に行こう」
俺は少し動揺していた冒険者に指示を出す。
こんな感じで手強い敵は居なかったが、遭遇する魔物を倒しながら目的地に進む。
「想定より魔物が多いな」
「ええ、報告よりも多いと思います」
予め提供された情報よりも魔物が多い。王都の騎士団は調査していないのかと疑問に思う。敵の情報を集めるのは戦をする上で必須の事だ。
「古い情報を渡されたか」
「ええ、恐らく」
最新の情報は無いかもしくは意図的に隠されているように思えてくる。どんな思惑があれ、俺達は物資を運搬するだけだ。俺達は五日間かけてクヌストールにある一番南の街に到着した。
戦場から離れている為か、ここはまだ平和そうに見える。
「俺が話してくる。クリスは荷物を見張っておけ」
「はっ!」
元気の良い返事をするクリスを背に俺は駐屯していた兵士に話しかける。
「王都からの物資を運んできた。どこに持っていけば良い?」
「ああ、やっと来たか!ありがとう!後はこちらで現地まで運ぶ」
必要以上に感謝されて戸惑う。
(それだけ物流が滞っていたという事か)
「それなんだが、俺達も前線まで連れて行ってくれ。戦力として使ってくれて良い。そう指示されたからな」
「なるほど。増援も兼ねているのか」
「という事で、戦況を教えてくれ」
「分かった」
戦況の確認をして、一番被害の大きい場所に俺達は向かう事になった。
「住民を人質に取って立て籠もってやがるんだ」
「被害が出るかもしれないが、一気に敵を殲滅する為の戦力ってわけか」
「そんなところだ」
「俺は戦闘部隊で良いが、あいつはまだ新人でな。足手まといになるから救護部隊の護衛にでもしてくれ」
「お優しい事で」
(さっさと片付けて双子を見ながら酒が飲みたい)




