97. 原作
大きな部屋に案内され、お茶とお菓子を出されもてなされた。もてなしが終わったのか、メイドや案内してくれた執事は部屋を退室していく。
「単刀直入に聞くけどこの状態は原作通りなのか?」
「そうね、正直分からないわ」
対象年齢の低い、王道のRPGらしく周辺の事は詳しく描かれていなかったそうだ。
「でも、私の想定では王都周辺の魔物の増加量以外は原作通りだと思う」
「王都は違うのか?」
「私の想像よりは平和と思っただけで、大変だけどね」
キャロリンの詳しい想定を聞いたが、ゲームで学園の外が舞台になるのは卒業後らしく、本当に今がどんな状況であるべきなのか分からないらしい。キャロリンに知識を提供してもらって協力してもらうのは来年以降になりそうだ。
「てか、誰でもやった事あるゲームだと思うんだけど本当に知らないの?」
「幼い頃、ゲームはやらせてもらえなかったからな」
「そういう事ね」
前世ではゲーム機を勝ってもらえず、友達の話が分からない事が多々あった。
「今聞きたい事は聞けた。ありがとう」
「そう…それで…えっとね」
「何だ?」
「……いや、何でもないわ、とにかく急いで北に向かった方が良さそうよ」
「そんなに大変な状況なのか。分かったよ」
キャロリンの心配が伝わって来た。誰か友達がクヌストール居るのかもしれない。俺はすぐに了承する。
「で、もう一つ聞きたいんだが」
「何よ」
「日本食、今日食べられそうか?」
「……はあ、真剣な話かと思ったら…」
その後、ちょっと待っててと言って出ていったキャロリンを待っていると良い匂いがしてきた。
「お待たせ。焼き魚とごはんとみそ汁だけだけど」
飲み物に気を利かせてくれてかビールが用意されていた。
(酒あるなら米は要らないんだよな…)
「ありがとう!いただきます!」
「いただきます」
キャロリンと一緒に夕食を食べ始める。まずは久しぶりのみそ汁を啜る。
「やっぱ日本人ならこれだよな」
「久々に飲むとそんな感想になるの分かるわ」
近況や日本食の研究について話しながら食事を進める。あまり一緒に居た事は無かったが、同郷という事で話は弾んだ。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
俺は詰所にクリスを待たせている為、すぐにキャロリン宅を後にする。
「何か、気付いた事があれば遠慮なく教えてくれ」
「分かったわ」
「じゃあ、元気でな」
「ええ、そっちも気を付けてね」
俺は走って詰所に向かう。食後に走るとダイエットになるという記憶を思い出しながら真っ直ぐに向かう。
「ルーク様!今までどこに居たんですか⁉」
放置していたせいか、クリスは少し苛立っていた。俺は謝りながら友人の家で夕食を食べた事を話す。クリスはまだ夕食を食べていなかったらしく、更に不機嫌そうな顔になる。
(そんな事より日本酒を飲めるようになるのはいつだろう)




