96. 魔石
俺はクリスを背負ってすぐに出発した。最初は恐怖で暴れていたクリスだが、慣れてきたのか王都に近づく程静かになっていた。
「もうすぐ王都だ」
「本当に日が暮れる前に着けるなんて…」
驚くクリスを無視して俺はスピードを上げる。正直魔力操作を一日中やって集中力が切れてきていたのでさっさと王都に着きたかった。
「ちょ、ちょっと」
クリスがまた騒ぎ出す。そんな事をしているとある異変に気が付く。本来ダンジョンの中にあるはずの魔石が地面や岩肌に出来ていた。
「…なぜここに魔石が」
「ああ、それは…」
クリスが耳元で説明してくれた。最近、王都付近のダンジョン内の空気中に含まれる魔力の量が異常に増えだした。当然、ダンジョン内だけでは収まらず、王都周辺の空気中の魔力量も増えだした。その結果、地表に見えていた鉱石が魔石へと変わりだしたのだと。
「そんな状況、人体には影響がないのか?」
「ええ、魔力を扱いなれていない人は気分が悪くなってしまうと言われています」
「なぜ避難しないんだ?」
「それは…」
王都周辺の治安は今最悪の状況らしい。南北の問題に人員を割きすぎて、王都周辺の治安維持が困難になっているのだとか。なので、体調が悪かろうが、王都内で事態が収拾するのを待っているのだとか。
「止まれ!」
そんな話をしていると王都に着いた。門の前で兵士に呼び止められる。父から借りた身分を示す紋章と王都からの依頼書を見せるとすぐに中に入れてくれた。
「もっと手間取ると思ってた」
「それだけ緊急の依頼なんですよ」
「で、この後はどこに向かえばいいんだ?」
「今日は遅いので詰所で一泊させてもらいましょう」
クリスの提案で詰所に向かっていると見慣れた人物を見つける。
「ちょっと先に行っててくれ」
「え、あ、まっ」
いきなりの事にクリスは動揺していたが、ほっといて目的の人物へと駆け出す。
「おーい、アリィ、キャリー!」
「え?、ルーク、なんでいるの?」
「ちょっと父さんにお使いを頼まれてな」
振り向きざまにアリアネルに尋ねられる。
「王都はすごく大変らしいけど大丈夫か?」
「まあ、最近慌ただしいけど、私達はいつもと変わらないよ」
「そうか、なら良かった」
その後はお互いの近況を話し合った。アリアネルはちょくちょく手紙を送ってくれていたので大体その内容通りだった。
「それで、キャリー。聞きたいことがあるんだが」
「はあ、分かってるわよ。ちょっと遠いけどうちまで来てくれる?」
「内密の話だからな。助かる」
「じゃあ、私は寮に帰るね」
「悪いな、ありがとうアリィ」
という訳で俺はキャリーの家に向かう事になった。
(日本食と日本酒あるかな)




