95. 救援
「その仕組みが完成したら王都に向かってくれルーク」
父に言われる。
俺は避難民の管理を父の部下達だけで出来るように決まりを細かく決めたり報告体制を作っていた。この仕組みが完成すれば俺は楽が出来ると頑張ったら、すぐに王都に行くように言われた。
「でもここも人手不足なのに良いの?」
「実は北のクヌストールの反乱が抑えきれなくなっている」
クヌストールは王都に近い為、反乱が抑えきれないと次は王都が危なくなる。
「今は補給物資を送る為の護衛が足りていない。そこでルークに王都から補給物資をクヌストールに届けてもらいたい」
「…まあ、そういう事なら。でも良いのか?明らかに何かの罠に思えるんだけど」
「それもあるだろうが、王都が攻められる方が問題だ」
「分かったよ」
「そしてその後は反乱の鎮圧に協力してきてくれ」
なぜ遠く離れたブルスジルに救援が来るのか謎だが、色々とあるのだろう。頭を抱えた父を見て深くは尋ねずに了承する。
「それからこいつも連れていけ。入れ!」
「はっ!」
父の呼びかけに大声でドア越しから返事がした後にドアが開いた。そこに立っていたのは俺とあまり年が変わらなさそうな少年だった。
「初めましてルーク様。私はクリス・ロバートソンと申します。今回の任務に同行させていただきます」
「…ああ、よろしく」
「そいつは若いが優秀だ。頼りにしていい」
その後、聞いた話によるとクリスは昨年入隊した新人との事で、俺の一個上らしい。あまり余裕のないこの地から貸せる最大の戦力とも言っていた。頼りがいがありそうだ。
「では、さっそく出発してくれ。ルーク、全力でどのくらいに王都に着く?」
「クリスを背負っていけば二日、いや、今日中には王都に着けると思う」
「…魔導車は動いてないんですよ。そんなに早く着けるはずがありません」
クリスに否定される。普通の人が王都に徒歩で向かおうとすれば一週間近くかかるだろう。だが俺にはホバー走行があり、最近魔力を増量する事に成功している為、休憩なしで行ける。更に森や崖を迂回せずに直進すれば今日中には着けると予想した。
「まあ、ルークなら大丈夫だ」
「…」
根拠の無い信頼を寄せられている。渋々といった顔でクリスは無言で頷く。
「納得してくれたならすぐ行こう。日が暮れると厄介だ」
「了解しました」
年上に敬語を使われるのは少し気持ち悪いが、立場的にはこちらの方が上で仕方がない。気安く喋ると今度は周りに示しがつかなくなり、父にも迷惑をかけそうなので黙って笑顔で頷いとく。
(本当なら一緒に楽しく酒を飲みたいんだけどな)




