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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第三章
93/223

93. 実験

 翌日、俺はさっそく森に向かった。まずは魔物の魔力を奪おうと考えた。昨夜、試しに草からかなり少量ではあるが、魔力を奪えたので次は魔物という訳だ。

 森の奥に着くと大型の熊の魔物が居た。


(ちょうど良い相手だ)


 俺はさっそくデコイを起動させて魔物に取りつかせる。動きを封じたところで自分自身で近づいていく。まず自分の魔力を操って相手の魔力を掴む。そしてそのまま取り込んで亜空間に貯め込む。

 魔力は生命の源だ。それが尽きれば気を失ったり最悪死亡したりする。魔力の大半を奪われた相手は膝をつく。俺はそのまま首を刎ねて止めを刺す。


 魔力の取り込みは無事に成功した。体に違和感もない。取り込んだ魔力で魔法の発現も問題なく行えた。


(これで全ての問題解決か?)


 今までネックだった魔力量の問題が改善される結果だ。これからの討伐依頼で、倒す魔物の魔力を取り込み続ければ、いざという時に魔力切れでデコイが使えなくなる事は少なくなるだろう。


(確実に強くなっているぞ俺)


 実験の成功はいつでも嬉しいものだ。予想してそれが当たっていた時の達成感を得る。


(これが酷くなったのがギャンブル依存なんだよな)


 前世で少しやっていたパチンコを思い出す。前世では金がもったいなくてすぐに止めたが、この世界にもそんな物があれば、金に余裕のある今、ハマらない自信はない。


(まあ、その時考えればいいや)


 この世界では自由気ままに生きている俺なので、特に深く考えずに楽観的になる。

 その後、帰宅していつも通りにパトリシアに模擬戦を挑まれる。自信満々に快諾すると不思議そうな目で見られる。


「また新技か?」

「ああ、見た目は同じだが中身を改良してみた。まあ、楽しみにしていてくれ」


 模擬戦が始まるといつも通り俺の優勢から始まる。いつもなら暫くすると俺の魔力切れでデコイが消えて逆転されるが、今日は違う。なかなか消えないデコイに徐々にパトリシアが焦り始めているのが伝わってくる。その焦りの隙を突いて俺はパトリシアをなぎ倒す。


「今日は俺の勝ちだな」

「どうやったんだ」

「ただ、魔力の増やし方を工夫しただけだ」


 亜空間に魔力を貯め込む事を理解できていないパトリシアには説明しても出来そうに無いとの事だった。暫くは俺の優位が続きそうだ。今日の鍛錬が終わって家に戻る。


「ぱぱのどかわいた~」


 ちょうど目を擦りながらステラがやってくるところだった。


「ごめんな、起こしちゃったか?」


 俺はステラを抱き上げてキッチンに向かう。水を飲ませてトイレに行かせてから再び寝かしつける。ステラは一連の行動で目が覚めてしまったのかお腹をトントンしてあげてもぱっちりと目を開けている。これは長期戦になりそうだ。


(ああ、早く酒が飲みたい)

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