78. キャロリンの苦悩⑤
ブルスジルに向かっていたアリアネルが王都に戻ってきていた。しばらくは王城で報告をしていたが、今日から学園に復帰するらしい。
「アリィ、おはよう!」
「あ、キャリー!おはよう!」
久しぶりの親友は少し疲れた顔をしていた。
「キャリー、話があるんだけど放課後大丈夫?」
「?、大丈夫だよ」
何の話か気になるが、授業が始まりそうなので放課後聞く事にする。
そして放課後。
「…という訳で魔界に向かったんだよ」
アリアネルがブルスジルに行き、ルークと再会して魔界に行った話を聞かされる。ルークにキャリーには話しておけと言われたらしい。
(なぜ?何か怪しまれてるのかしら…)
そんな疑われている事より気になる事がある。アリアネルは本来、在学中に王都や周辺に現れる強敵との戦闘でレベルを上げ、魔物が劇的に増加する学園卒業後に魔界に向かうはずだ。
(ルークを助けに行った時にも向かったけど、またイレギュラーかな)
それに魔物の増加原因が魔界にあると分かるのは、もっと後のイベントでの話だったはずだ。最初は少しのずれだけで済んでいたが、段々とストーリーがおかしくなってきている。
「…で、ダニーとパトリシアと一緒に施設を破壊して回ったんだ」
「!?」
ダニー・シムズは協力者として出てきたが、パトリシア・オブライエンは敵だったはずなのになんで味方になっているのかと驚きを隠せなかった。
「どうしたのキャリー?」
「いや、そんな悍ましい施設があったことに驚いちゃって」
「そっか、でね…」
今考えても仕方ないので登場人物の事は後で考えるとして、まず施設について考える。ストーリーでは魔界に向かった後はダニーの協力を得て、施設の破壊を始めていく。大規模な施設なので、もう建設されてても違和感はない。
(ただ、破壊しちゃったか…でもあれ?)
ストーリーではまだだが、施設は先に破壊してしまっても問題ないのではないかと考え始める。
(でも、ストーリーめちゃくちゃになりすぎじゃない?)
と思ったところである疑惑が浮かんでくる。
(ルークって転生者?)
だとしたら問題ない今回の行動も、私に話せと言った意味も見えてくる。恐らく私が転生者でここがゲームの世界だと知っていると思われているのだろう。
「私、ルークに会ってくる」
「え、なんで?」
別にルークが転生者でも構わないが、このストーリーをどう改変したいのか知っておかなければと思った。
(なんで、また私が頭を悩ませないといけないのよ)




