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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第三章
77/223

77. 日常

「よし、仕事の話をしよう」


 俺は双子を膝に抱えてパトリシアと向き合う。


「基本は俺がいない間、二人の面倒を見て欲しい。後は自由にしてもらって構わない。給料は一日大体このくらいかな」


 俺は銀貨と銅貨をテーブルの上に並べてパトリシアを見る。


「…まあ、行くところもないし、いいだろう」


 そんなこんなでパトリシアを正式に雇うことにした。部屋を用意してやって明日からの俺の生活について話をしていく。


「明日からはこんな感じで働いてくるから後は頼んだ」

「分かった」

「おはなしおわり?」

「おねえちゃんあそぼ~!」


 話が終わると双子はパトリシアを手で引っ張り始める。


「じゃあ、よろしくな」

「…お、おい」


 俺は家の掃除を始める。しばらく留守にしていたので埃が溜まっている。最初に来た時と同様に魔法で埃を玄関に集めた後は雑巾で汚れを拭き取っていく。窓を拭いていると庭で楽しそうに走り回っている双子と疲れていそうなパトリシアを見て思わず笑顔になる。数日前に死闘を繰り広げていた自分達と違い、平和な日常が戻って来た事を実感する。


 掃除の後は夕食の準備をする。

 双子に好き嫌いはさせないから考えなくてもいいが、パトリシアは食べれないものがあるのか気になり、庭に出る。


「パトリシアは苦手な食べ物あるか?」

「アリスはおやさい!」

「ステラも!」


 パトリシアではなくアリスとステラが元気よく返事をする。


「二人はちゃんと食べような。で、パトリシアは」

「…大丈夫だ、何でも食べられる」


 偏食じゃなくて良かった。俺はキッチンに戻って料理を始める。野菜は二人が食べやすいように細かく刻んで、他の具材に混ぜたり、味付けを少し濃い目にしたりと工夫をする。


「ご飯だぞー!手を洗ってこーい!」

「「はーい」」


 元気な二人の返事を聞きながらテーブルに座って皆が来るのを待つ。

 皆が来たところで俺は口を開く。


「じゃあ、食べるか。いただきます」

「「いただきます!」」


 二人がおいしそうに口を動かしているのを眺めながら俺も食事を開始する。時折口を拭いてあげたりしていると、パトリシアが訪ねてくる。


「酒は飲まないのか?」


 俺は今回の遠征中に十六歳になり成人していた。酒を飲んでも法律的に問題ない。


「今家に無いんだ。明日、良いのがあったら買ってくる。パトリシアは飲むのか?」

「あればな」


 相変わらず不愛想な返事だが気にならない。なんせこの世界に来て初めての酒だ。何を飲もうのか考えるのが楽しくなってくる。


(やっぱ、最初はビールが飲みたいな)

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