75. 新たな戦術
ダニーの指摘を受け、俺は帰り道の途中でさっそく作業に取り掛かる。
まず、自分の脳からサーバーの様な物に魔力で繋げるイメージをする。その中に魔力操作で空中に「hello world」と描くようプログラミングしたアプリを作成する。魔力を一単位ずつに分けて、それらの移動方向を指定してあげる事で空中に文字を描く仕様だ。そして、出力先を指先にすれば準備は完了。今回は関数を呼び出すだけで、値は指定しなくてよいので、さっそく実行する。
体の中を意識していないのに魔力が移動する感覚に襲われる。目を開くと目の前に魔力で「hello world」と書かれていた。成功して思わずガッツポーズを取る。
「成功したみたいだね。どんな原理だい?」
「ああ、これはな…」
ダニーに聞かれて俺はやった事の説明を始める。今回サーバーは一つだが並列に複数設置すれば多くの処理にも対応できるはずだ。ダニーが考えるポーズを取りながら聞いている横でパトリシアがアリアネルに尋ねる。
「あいつらは何をしているんだ?」
「さあ?難しすぎて分かんない」
前世の知識なので二人は理解しきれないようだ。理解できてそうなダニーがおかしい。
そしていつも通り俺はアプリを常時起動しておけるように練習を始めた。練習として魔法に魔力を指定した値まで貯める、条件が一致するまで魔法行使を待機させておく物を意識せずに常時起動させておく。後々はもっと多くの複雑な処理を出来るようにしたい。
そんな事をしながら進んでいると、ダニーが住んでいた森に着く。
「ダニーとはお別れだな。パトリシアはどうする。行く所が無いなら付いてくるか?」
「………そう…する」
「そうか、じゃあなダニー!」
「ああ、またいつかね~」
という事でダニーと別れて俺達は帰路に就く。
「あの子どうするの?」
「やる事ないなら俺の家で雇おうかと」
「大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫だろ。双子とはすぐに仲良くなってくれるさ」
「…そういう事じゃなくて」
そうこうしている内に俺達はブルスジル領に帰って来た。慣れていたこともあって、全部の工程で三ヶ月程で帰ってくる事が出来た。
久しぶりの家に着くと母と双子が遊んでいた。
「アリアネルとパトリシアは父に報告してきてくれ」
「分かった」
「アリス、ステラ!ただいま!」
俺がそう声を掛けると二人は母の後ろに隠れてしまった。こちらをチラチラ見ている。
「あらあら、忘れちゃったのかしらね。パパよ~」
(え?どういう事?酒飲んでる場合じゃない!)




