72. 最後
俺達はそのままもう二つの施設を壊滅させた。
「次が僕が把握している最後の場所だ」
ダニーが言うには、異常な魔物の増え方をしている場所は次で最後らしい。他にもあるかもしれないが、これだけ潰しておけば魔物の異常増加は収まるだろう。
俺達はさっそくダニーが指定した場所に向かう。
「誰かいるね」
辿り着いた高原に施設と魔物、その前に誰かが立っていた。こちらを見て笑っている。
「こっちに気が付いているようだけどどうする?」
「取り敢えず話してみよう」
ダニーの言葉に俺達は彼に近づいていく。
「…お前らか」
立っていた男はそう言うとこちらを観察し始めた。探られる嫌な視線に晒される。
「そっちの二人はともかくお前らにはここを潰す理由が無いように見えるが、なぜだ?」
「僕達は平和的に解決したいからね。根本的な原因を排除しに来た」
「向こうの世界との戦争は嫌か?」
「今攻められるとどちらも無事では済まない」
ダニーと男が会話を続ける。彼らの会話は終わりが無いように思えたので、口を挟んでみる。
「そもそもお前らの目的はなんだ?」
「さあ、なんなんだろうな、神の言う通りにしているだけだ」
「……神?」
「…あ、なるほど……面白い」
ダニー以外は誰も納得が出来ない意味の分からない理由だった。そのまま皆が黙り込む。
その隙に俺も相手を観察する。隙の無い立ち方にこちらを威圧する物凄い魔力量。
(勝てないか…)
俺には無理そうだ。俺が相手の動きを止めている間に誰かに止めを刺してもらうか、など考えている間に事態は動き出した。
何時の間にか周りを大量の魔物に囲まれていた。
「では、始めるか」
魔物達が一斉に襲い掛かってくる。
「俺が奴を叩くから皆は他を頼む」
「了解」
「いいよ」
「…」
四人がそれぞれ動き出す。
俺は目の前の魔物を屠りながら男に近づいていく。男は余裕の表れか、表情を変えずに微動だにしていない。
ハルバードが届く距離に近づいた時、俺はハルバードを振り下ろした。
「ガンッ!」
相手の腕に防がれたハルバードは鈍い音を立てて弾き返された。
(うそだろ…)
手が痺れた。相手の武装が何の金属か想像できないが、衝撃の硬さだった。
「もう終わりか?」
相手に煽られて俺は連撃を繰り出す。主にフェイントを入れ、装備のない隙間を狙って連撃を繰り出す。
まだ相手に武器を出させていない。俺は三人が魔物を片付けてくれるまでの時間を、相手が油断している内に稼いでおきたかったのでなめられているのは好都合だ。
(帰って酒が飲みたい)




