71. 大乱闘
俺は目の前の魔物に狙いを定める。味方の、アリアネルとパトリシアの位置を確認しながら武器を振り回す。
前世での無双ゲームのような感じに敵が吹っ飛んでいく。ただゲームと違って一発でも攻撃を喰らえば瀕死になる事だってありうるので、緊張感がある。
「ルーク!右!」
右からものすごい魔力を感じる。咄嗟に右に武器を突き出す。
「ほう、防いだか…」
他の魔物と違って魔力量が桁違いの敵が襲ってきた。こいつは恐らく魔族だろう。
「こいつの相手は俺がする。二人は他を頼む!」
「了解」
アリアネルは返事と共に行動するが、パトリシアは自由に自分の意志で動いている。まあ、苦戦している様子はないので好きにさせておく。
相手は武器を持っていない手で俺を殴ろうとしてくる。俺は咄嗟に武器で相手を押し返しながら距離を取る。相手が追ってこようとするので俺は無詠唱で雷の矢を相手の目の前に発生させる。一瞬相手の不意を突けたが、瞬時に躱される。俺は諦めずに雷の矢を設置し続ける。俺の得意な戦法だ。だが今回の俺は逃げる為の戦術でこの行動をしているのではない。
数回のやり取りで相手の動きを観察して、避ける確率の低い方の雷の矢の後ろから気配を消して回り込む。相手の利き手の逆からハルバードで相手を切りつける。
「っ!」
相手は右腕を犠牲にして俺の攻撃を防ぐ。
「…なかなかやるな」
「お前もな」
会話をしながらも相手の出方を伺う。そして俺は先手必勝とばかりに相手に連撃を加える。右腕を切られた相手は右側を庇うように俺の攻撃に対処している。
前方は俺のハルバードで、後方は雷の矢で相手の動きを徐々に狭めていく。そんな状況に気が付いたのか、今頃相手が慌て始めているがもう遅い。攻撃の癖、躱し方の癖、逃げ方の癖を全て把握した俺は詰将棋のように雷の矢を設置する。
「終わりだ」
予想していた躱し先に攻撃を繰り出しながら呟く。俺の攻撃が直撃して、敵は息を止めた。敵とは言え、言語を操る相手を殺めるのはいつまで経っても慣れない。
そんな気持ちを感じて軽く黙祷した後にアリアネルとパトリシアの援護へと向かう。
二人は苦戦している様子はなく、流石としか言いようがない。
「こっちは片付いた。手助けは要るか?」
「私は大丈夫」
「……」
アリアネルはちゃんと返事をしてくれるが、パトリシアはまだ心を開いてくれないのか返事をしてくれない。なので若干押されているパトリシアに加勢することにした。
そんな風に俺達はダニーが作業を終えるまで魔物の数を減らし続けた。俺が倒した敵意外に強力な魔物や魔族が現れなかった事もあったが、概ね順調である。
そして施設がいきなり大爆発し始めた。やったのはダニーだろう。躊躇いが無い攻撃だ。
(花火を見ながらの飲酒もしたいな)




