70. 魔族
ダニーは説明を続ける。
「我々の世界では体内の魔力量が君達より多いのは感じているだろう。その中でも魔力を体格の容量以上に持つ事が出来る種族がいてね、彼らは自分達の事を魔族と呼んでいて我々を見下して幾度となく戦争をしてきた」
それは俺達がいる世界ではなくここ魔界での歴史だろう。それがどんな風に伝わったのか分からないが、だからか俺達はここを魔界と呼んでいるのだとダニーが言った。
「数千年前に一度、その戦いが激化して君たちの世界も巻き込む大きな戦いとなった」
その戦いで魔族側は大敗したという。魔族側は数が少ないので、人間側は質よりも量で乗り切ったらしい。
「僕も文献でしか読んだ事が無いから魔族を直接見た事ないんだ」
そして彼らはある特別な力を持っていた。
「魔族には秘術があるらしく魔物を操る事が出来る。人為的に魔物も生み出す事が出来れば強力な軍勢が完成する」
大きな戦いで生き残りが居たのかすら分からないが、彼らが何かをしていて、それが今起きている異変の原因だろうとダニーは予想しているそうだ。俺達にはまだ確定じゃないと前置きしているが、何か確信のようなものがあるらしい。
そんな話をしながら森を進んで行くとダニーがとある場所で立止まった。
「あれだね」
ダニーが指を指した先を見ると大きな施設があった。その周辺に魔物がうじゃうじゃといる。
「あれを倒して中に入るのか…」
「いや、ここからは二手に分かれよう」
ダニーが俺の言葉を否定する。
「こういう建築物は大体が僕の設計なんだよね。僕が設計図を提供している訳ではないんだけど、どこかから流出してしまうんだ。」
(あの小屋の状況ではな…)
「僕は一人で侵入するから君達は建物の正面で魔物や魔族の気を引いていてくれ」
「「了解!」」
俺とアリアネルは了承する。
「パトリシアはどうする」
「やる事ないなら協力してよ」
パトリシアが黙ったままなので、俺とアリアネルが声を掛ける。
「……少し…イライラしていたんだ。…憂さ晴らしにやってやろう」
「…おう、ありがとな」
方針が決まったところで俺達は行動を開始する。
ダニーはさっそく潜入するために行ってしまった。俺達が行動したら彼も動き出すと言っていた。そこで俺達も作戦を決める。
俺が前衛で突っ込んで、アリアネルとパトリシアが俺の取り溢しを拾う。そんな大雑把な作戦となった。
(俺は武器を振り回せた方が動きやすいしな)
俺達は頷きあってギリギリまで建物に近づく。そして武器を構えて草むらから飛び出す。
俺は武器を振り回しながら敵を屠っていく。魔物の数は多いが、強さは大した事が無いみたいで俺はどんどん進んでいく。
(終わったら酒が飲みたい)




