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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第一章
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7. 酔った感じ

 魔力を切り離せるようになった数日後、あることに気が付いた。


 体内で魔力を動かすこと同様、魔力を切り離すのを自然に出来るようになり、調子に乗ってたくさん切り離していたところ、体内の白いもやもや、魔力が無くなりそうになっていた。


(あれ、この感じ…)


 魔力量が少なくなった時、転生してからは体験したことのないような感覚に陥っていた。いつもみたいな疲れて眠る感覚とは違い、思考力が低下し、ふわふわしていて眠りそうな感覚。


(眠れなくて、寝る前に酒飲んだ時の感覚だ!)


 目が覚めると、ベッドの上で寝かされていた。いつもとは違い、ものすごくおなかがすいている。魔力を回復するために体力を使ったのかもしれない。あとあの感覚、生命の危機に瀕したときの感覚なのかもしれない。今は家の中だから心配ないが、実戦で同じような状況になったら大変なことになる。久々の感覚に少し興奮していたが、冷静に考えてその危険性に気が付いた。


(前世でいうところの血が少なくなって、貧血になるような感じだろうか)


 危険だと分かっていても、前世で中毒者の自分が欲望を抑えられるわけもなく、月二回程度なら大丈夫だろうと考えていた。ほとんどは、体内の魔力が半分以下にならないようにし、二週間魔力の訓練を頑張ったご褒美に、一回限界まで魔力を使う生活を送ることになった。ご褒美があるおかげか、今まで淡々とこなしていた作業が楽しくなってきた。


 まず、目が覚めてから寝るまではずっと体内の魔力をランダムに動かしつ続け、昼寝と夜寝る前に体外での魔力操作をしてから眠りにつく。その間に兄姉達と遊んだり、父と母に構ってもらったりし、普通の赤ちゃん(自分の中の想像の)としての生活を送る。最初のうちは並行で作業が出来なかったが、最近では意識せずに自然と出来ていると思う。

 体外に切り離された途端、霧散していた魔力も一定時間は操作が出来るようになってきていた。まだまだ実戦で使うには未熟だと思うが、子供だからだろうか、日々成長を感じる事が出来る。

 ただ、魔力の量はそんなに増えていないと思う。前世のあるあるだと、魔力は使えば使うほど容量が増えていたが、実際はそうでもないらしい。体の成長に合わせて少し増えているようには見えるが、使えば使うほど増えるものではないらしい。

 この世界では魔力を多く消費する魔法はどのようにするのだろうか。


(普通に考えると大人数で行うのだろうと思うが…)


 まあ、それは追々勉強するとして、今は体内に貯めて置ける量を増やせないか考える。ぱっと思い浮かぶのは、外付けする方法だろうか。何かに入れておいてそれを持ち運ぶ方法。でも、今の赤ちゃんの姿では持ち運べないだろう。


(亜空間に収納できればな…)


 背中に亜空間につながる線を想像し、魔力を移動させる。


(あ、いけそう!)


 体内の魔力量が移動した分だけ減っていた。

 次に逆に亜空間から取り出そうとする。移動させた時と同じように背中に亜空間につながる線を想像し、魔力を移動させる。


(…できた!)


 これなら、体内の魔力を限界まで魔力を使ったとしても、亜空間に溜め込んでいた魔力を取り出すことで体力を使うことなく回復できる。月に何回も酔ってから眠る事が出来そうで思わず笑顔になる。俺を抱っこしている母に微笑み返された。可愛い。


(でもやっぱり本物の酒が飲みたい)

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