62. 兄と幼馴染
双子が泣き止んだ後、席に着く。二人が俺から離れようとしないので膝に座らせて食事を再開する。二人に料理を食べさせながら両親と話をする。
「そういえば兄さんは?」
姉は結婚して他領に行ってしまったが、兄はここに残って領主としての勉強をしていたはずだ。
「それがな…今ちょうど森の魔物が大量発生していてな。ニーチェに対応を任せている」
「そんな大変な時期なら言ってくれれば来る時期をずらしたのに」
「いや、規模自体は大したことはない。領主代理としての練習だな」
「そうよ。だからあの子もあなたに会いたがっていたわよ」
魔の森での魔物の大量発生。久しぶりの大量発生という言葉を聞いたが、大した事がなさそうで少し安心する。
「ただ、最近頻度がおかしくてな」
聞いたところによると、討伐に向かう頻度が増えているらしい。おそらく魔界から魔物が流れてきているとの事だ。
今、ブルスジルでは俺が魔界にいた時の情報を頼りに魔界の偵察を行っている。そこで手に入れた情報で、何やら向こうでは大規模な争いが起きているらしく、魔物や向こうの人間がこちらに来ることが増えたのだとか。
「国王に報告済で、対応は判断を待っているところだ」
このまま、暫定的にこちらに来た魔物だけを狩るのか、こちらから向こうに攻めてこちらに来られないようにするのかになると思うと父は言っている。どちらにしろしばらくは忙しくなるだろう。
「そういえば、アリィもこっちに来てるぞ!」
「今はニーチェと一緒に討伐に参加しているけど、明日はこの屋敷に帰ってくるそうよ」
「アリィにも会えるのか。それは楽しみだな」
アリアネルも国王からの要請で王都からこっちに来ているらしい。王都でもいろいろあったらしいが、ブルスジル領での異変の方が重大と判断されたらしく、こちらに来てくれたとの事だ。
(…という事は国王は魔界に攻め込むつもりなのかな)
まだ指示はないが、王都の面倒事が片付いたら今度は魔界攻めだろうと予想できる。
(…俺も参加の流れになりませんように)
他人事のように話を聞いていたが段々と不穏な感じになってきてる。下を向き笑顔で食事をしている双子を見て一旦癒される。
(本当に天使みたいに可愛いな…)
ふと気が付いたのかアリスが聞いてくる。
「ぱぱ、このひとだあれ?」
「じぃじとばぁばだよ」
「「じぃじとばぁば?」」
二人に説明を始めると両親も先程までの会話を止め、二人と話したそうな顔をしてうずうずし始めた。二人に挨拶してきなさいと言って膝から降ろすが、やだと言って挨拶をしに行こうとしない。それを見て両親も苦笑いをし始める。
(このいい雰囲気の中で、いつか両親と一緒に酒が飲みたいな)




