61. 実家
いろいろ大変だったが、夕方には自領のブルスジルに着いた。そのまま暗くなる前に急いで屋敷へと向かう。二人は魔導車の中ではしゃぎ疲れたのか、俺の腕の中で眠っている。
「夜分にすまない、ルークだ」
「お待ちしておりました。ルーク様」
予め手紙を出しておいたお陰か、門番に名前を言えばすぐに中に入れてくれた。
「ルーク!やっと帰って来たのね!」
「しー、静かに。二人が起きちゃう」
母が大きな声で駆け寄ってくるのを制止する。母は双子に目を丸くして驚いていたが、すぐに顔を近づけてきて笑顔になる。
「血は繋がってない。訳あって面倒を見ている。今日は移動の疲れでもう眠ってしまった」
「そうなのね。こっちにいらっしゃい、子供用のベッドがあるわ」
来賓用に子供用のベッドがあるらしい。流石貴族だ。いろいろな人を招くのに慣れている。
二人を案内されたベッドに寝かしつけると母が口を開く。
「可愛いわね」
「ああ、将来はものすごい美人になると思う」
「あら、さっそく親ばかになっちゃったのね」
クスクスと笑いながらからかってくる。しばらく育てていれば情は湧く、そんな気持ちが子供の可愛さを加速させていく。世の親ばかの気持ちを理解していると、父がやって来た。
「ルーク!」
「「しー、静かに。二人が起きちゃう」」
俺と母で父を静かにさせる。先ほど母としたようなやり取りを父ともする。父も可愛い可愛いと言って、寝ている二人を優しく撫でている。
ずっとこのままになりそうな雰囲気なので俺は提案をする。
「二人が寝ている間に夕食を食べてしまいたいんだけど…」
「そうね。夕食にしましょう」
母に促され父は残念そうな顔をしながら部屋を後にする。そして俺達は夕食を食べる。料理人が作っているとは言え、久しぶりに食べる実家の味だ。懐かしみながら舌鼓を打つ。
「ルーク、改めてお帰り!もっといっぱい帰ってきてもいいのよ」
「二人の事もあって忙しかったんだ。これからはちょくちょく帰ってくるよ」
家族で久しぶりに会話をする。話の内容は俺についての事がほとんどだった。本当に優しい両親を持てて幸せだなと思っていると双子の泣き声が聞こえてくる。起きてしまったのだろう。
「ごめん、行ってくる」
断りを入れて先ほどの部屋に向かう。ノックもなしに扉を開けて中に入る。
「「ぱぱ~!」」
泣きながら二人が駆け寄ってくる。俺は両手で抱きかかえて二人をあやす。しばらくあやしていると、落ち着いたのか、二人が泣き止み始めたので両親の元へと戻っていく。
(今日も子育ては大変だ。ああ、酒が飲みたい…)




