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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第三章
55/223

55. 新しい拠点

 翌日、俺は家を買いに商人のもとに向かう。土地等の売買も商人が担当している。


「ようこそいらっしゃいました。本日はどのようなご用件で?」

「金の用意が出来た。前に見た家と土地を買いに来た」

「少々お待ちください。今権利書を御持ち致します」


 その後、商人と権利書とお金の交換をする。これで売買完了らしい。あっさりと終わってしまった。


(まあ、前世では土地なんて持てなかったけど、この世界では普通だしな)


 この世界でマイホーム持ちは珍しく無い。その為、この淡白なやり取りにも納得する。

 さっそく買った家に向かう。前世では叶わなかった憧れのマイホームの為、かなり広い家を購入した。中古ということで家具等はあるらしいが、掃除はされていない。そこで間取りを思い出しながら掃除の順序の計画を立てる。


「でっけぇ~」


 前にも見たことはあるが、購入した事もあってかさらに大きく感じる。さっそく中に入る。前に見た時と同じくほこりが溜まっている。一人でやるのは骨が折れそうだ。


(何人か雇うか…)


 分かっていなかった訳ではないが、やはり大変なので誰かを雇わなければいけなさそうだ。しかし大きな問題がある。


(金がないし、しばらくは一人で頑張るか…)


 金銭面でしばらく余裕がない。なので自分で掃除する。出来るだけ楽な方法で。

 まず、部屋の間取りを思い出す。そして屋根裏から玄関までの動線を思い描く。次に風の魔法を詠唱で発動し、思い描いた導線の通りに風を操り、家全体の埃を玄関に集める。魔力操作の精密性には自信があるのでこなすことが出来たが、魔力消費が大きかった。


(今日はここまでかな)


 汚れなどは残っているが、生活は出来るくらいには綺麗になった部屋を見ながら家を見ていく。大きな補修はしなくても良さそうだが、自分でするよりはプロに任せた方が良さそうな状態だ。


(また、金を稼ぐか…)


 しばらくはこの状態で生活をし、冒険者として金を稼いでから補修していこうと思う。ただ、田舎ということもあって大工は隣町まで依頼しにいかないとならなく、通常よりはお金が掛かる。

 家にすぐに住めるとは思っていなかったので宿のチェックアウトはしていない。まだしばらくは宿暮らしだろう。残されていた豪華な椅子に座りながらのんびりとする。


(酒の収集はしばらくお預けかな)


 一番の目的が出来ないが、人生はまだまだ長い。ゆっくりと進んでいけば大丈夫だろう。将来のスローライフを思い描きながら宿に戻ることにする。今夜の晩御飯は何だろうか。毎日工夫を凝らした料理を提供してくれる宿に期待を寄せる。


(飲みつぶれても大丈夫な場所を手に入れられたので良しとしよう)

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