52. 帰還
「ルーク久しぶり、まったく、探したよ」
そこにはアリアネルが立っていた。久しぶりに見るアリアネルは成長し、美少女になっていた。
「アリィは綺麗になったな」
「はいはい、ありがとう。で、どういう状況?」
「…家に帰ってる途中だ。勘違いで襲われてた」
これで形勢逆転とはならず、相手の少女はいつの間にか逃げていた。援軍が来たと思ったのか、どちらにしろ助かった。すぐにでも逃げようとするが、身体に力が入らない。アドレナリンが切れたようだ。疲労の溜まった身体が思うように動かない。
「…アリィ、動けない。手を貸してくれ」
アリアネルが手を差し出してくる。
「はい、ほら早く帰ろう!」
アリアネルに介助されながら立ち上がる。そのまま肩を貸してもらいながら森へと向かう。
「まったく、大変だったんだからね。急に居なくなって」
「俺も居なくなりたくてなった訳では無いんだけどな…」
なんでも、アリアネルはずっとダンジョン内を探してくれていたらしい。それでも見つからず、ダンジョンにまつわる書籍を読み漁り、友人にもしかしたら魔界に行ってしまったのではないかと聞かされ、最後の望みを掛けて冬期休暇の間に探しに来てくれたらしい。
「タイミングばっちりだな。助かったぜ!」
「本当に良かったよ…それでそっちはどうしてたの?」
「……親切な人に助けてもらったんだ」
ダニーの事は言っても大丈夫だろう。話した事によって、あそこに誰かが行くことは無いだろうし。
そしてこれまでのいろいろな話を話しながら森を進む。俺は久々の会話で自然とテンションが上がっていたようだ。口数が多くなる。
数日後、空間の切れ目のような場所に来る。アリアネルもここから来たらしい。アリアネルが躊躇いなく入っていくので、俺もそれに続く。勢い良く入ってみたが特に何もなかった。変わらぬ森が広がっているだけだった。帰って来た実感がない。
そこからまた数日間、森を歩いていると見覚えのある景色になってくる。
「…ここは魔の森か」
「そうだよ~」
ここまで来てようやく見慣れた景色を見て、帰って来た感覚になる。
(久々の場所だ…)
しばらく歩いていると、実家が見えてきた。長い長い旅の終わりだ。涙が出そうになる。
「ただいま」
皆、驚いた顔をしたがすぐに笑顔で迎え入れてくれた。皆が俺の生還にたくさん泣いてくれた。謎に自分より泣いている人たちを見ていると涙が引っ込んでくる現象に襲われる。
(相当心配を掛けたんだろうな)
皆の顔を見ながらしみじみと思う。その後は風呂に入り、泥のように眠った。
(安心したら、酒が飲みたくなってきた)




