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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第一章
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5. 成長

 異世界転生してから、半年ほど経ち、一人でお座りが出来るようになったある日。

 いつも通り姉が来た。今日は兄は居ないらしい。俺はベッドをテシテシと叩いて意思表示する。


「ん?ルークどうしたの?」


 俺は絵本を指さして「あー」とか「うー」と言う。


「あー、絵本を読んでほしいのね!」


 俺はにっこりと微笑む。彼女が持ってくる絵本は天使や勇者に関する物が多い。前世のような童話も無くはないのだが、あまり興味なさそうに聞いていたらこうなった。俺は姉に抱っこされてベッドから降ろされ、膝の上に座らされ絵本を読んでもらう。


 流石に一歳未満の子供に内容理解は難しいと思い、内容は分かっていない振りをしている。

 天使の絵本は前世でいうところの神様のお話みたいなものだ。史実かどうかは分からないが、信じている人は信じていそうだ。言い回しも難しく、姉も読み辛そうなので結局読むのは勇者に関する絵本の方になる。勇者に関する物語も史実かどうか怪しい。が天使よりは信憑性がありそうだ。結局のところ人間と魔物の戦いの物語だからだ。

 絵本だからか、戦いの部分はかなり省略されていて、魔法の参考になるかと思って楽しみにしていたのにがっかりした記憶がある。


 まあ、そんな話は実はどうでもよくて本当にやりたいことは魔力操作である。魔物の存在に恐怖した日から魔力操作の訓練の時間を少しずつ増やしている。ただ、終わった後寝てしまうので、不自然にならないようにこうした行動を取っている。姉の体温で眠くなって寝てしまったというシナリオだ。

 膝の上で話を聞きながら、魔力操作をする。


 予想通りいつの間にか疲れて眠ってしまったらしい。いつの間にかベッドに寝かされていた。

 始めた頃よりはだいぶましになったが、まだまだ戦いの前線では使い物にならない速度だろう。魔法を使いたい気持ちはあるが、焦ってはだめだと言い聞かせる。それに赤ちゃんが魔法を使い始めたら恐怖しかないだろう。


 成長は喜ばしいが、魔力操作が完璧になった後は何をしよう。また暇になりそうな気がする。何をするにも赤ちゃんにしては成長が早すぎると思われそうだと、何も出来ないでいた。

 母に離乳食を食べさせてもらいながら考える。


(これ結構薄味だと思うんだけど、おいしいな)


 笑顔で口を動かしていると、つられて母も笑顔になる。可愛い。


(まあ、さっきも思った通り焦っちゃだめだよな)


 多分魔力操作は基本だろうから、息をするように出来るようになるまで練習をした方がいいだろう。今後やることは暇になった後に考えようと考えるのを放棄する。


 ふと、他の家族の食事が気になりだした。みんなはどんな食事をしているのだろうか。大人は酒を飲んでいるのだろうか。どんな種類の酒があるのだろうか。

 他愛もないことを考えながら再び魔力操作をし、強制的に眠りにつく。


(ああ、酒が飲みたい)

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