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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第二章
49/223

49. 再会

 翌日、見つかれば怪しまれるからと早朝に宿を抜け出す。門から出ていくのではなく、森の近くの壁から街を出ようと考えていた。この時期に戦争している国の方へ向かうのは怪しすぎる。牢に入れられでもしたら面倒くさい。


 周囲を見渡し、人気がないことを確認してから壁を素早く上り、街を抜け出す。その勢いで森の中へと入っていく。まだ日が出てきて無い事もあり、気が付かれずに森に入ることが出来た。

 そのまま、少し速足で森を駆ける。魔物を出合い頭に倒しながら進んでいく。


 数日、休憩を少なめにしながら森を進むと城壁が見えてきた。レッドクリフィア公国の街だろう。厳密に国境があるわけではなく、この街はこの国、といった感じで分けられている。

 防衛体制が完成している訳ではなさそうで、慌ただしかったが、無事秘密裏に入国することが出来た。


 ここからは、そこまで急がずに人目を避けつつ進む。途中、休息の為に宿に何か所か泊まろうと思っているので宿代の為に採取や魔物討伐をしながら進む。

 目立たずに進んでいるので特に変わった事もなく、面白味の無い旅だ。観光地にも寄らないので、代り映えの無い森か草原を進んでいく。

 方向は太陽の位置で確認し、順調に進んでいく。


(フラグを立てるわけではないが、このまま何もなければいいな)


 レッドクリフィア公国の端に目的の森があり、その先に空間の裂け目のような場所がある。そこから人間界に行けるそうだ。空間の裂け目の位置もダニーから教わっている。

 なんでそんなことまで知っているのか一度聞いた事があったが、長生きしていると知識だけは自然と増えていくものだ、と返されたことを思い出す。


(最近人と喋っていないな)


 珍しく、寂しい気持ちになりながら歩みを進めていると草原の先に目的の森を発見した。終わりが見え、気分が向上していくのを感じながら歩いていると後ろから殺気を感じる。咄嗟に斧を手に取り、殺気の方に向ける。斧と相手の武器が交差する。当たった衝撃で俺が被っていたフードが外れる。


「またお前か」


 目の前にはこの魔界で初めて会った人、可愛い少女が目の前にいた。


「また私の邪魔をしに来たのか…」

「…いや、なんのことだか」


 本当に心当たりがない。むしろ彼女の方から毎回襲ってきているような。

 前回はどこか戦闘を楽しんでいる雰囲気があったが、今回はそんな気配はない。それに彼女だけではなく、いつの間にか周囲を囲まれている。すぐには逃げられそうに無い。


(暴飲して忘れたい)

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