46. 魔界
「正確には君たちが魔界と呼んでいるだけで、ここの住人はここが魔界だとは思っていない」
ダニーは丁寧に説明してくれた。
ここは俺達のいる世界と繋がる別の世界のようなものだという。生態系も違う。この世界で人と言えば、角の生えた彼らだ。しかし、太古の昔に世界が繋がった時、今居るこちらの世界から向こうの世界に生物が向かったという。それが俺たちが魔物と呼んでいる生物だ。
「だから見慣れた魔物もいるのか」
「そう。面白いだろう!」
しかし、いろいろな場所で繋がっている訳ではないらしい。入り口は本来一つだけらしい。ここからかなり離れた場所にある森から行けるとの事だ。では俺はどうやって来たかというと。
「まだ、詳しい条件は分かっていないが、ダンジョンを通じてお互いの世界を行き来出来るみたいだ。条件はこっちから向こうの世界に行くときの方が緩いみたいだけどね」
その条件を知らず知らずのうちに満たしてしまっていたらしい。俺がどの条件で来たのかが分からないので帰る時の条件もわからないらしい。個体によっては同じ条件でも一方しか転移しない場合もあるらしく、不確定要素が多いらしい。
「言葉が通じる人と通じない人がいるのはなんでなんだ?」
「それは謎だね。研究しているが分からない。でも彼らの言語を覚えれば普通に意思疎通できるようになる。僕は覚えた記憶はないけど君達の言葉でも喋れる。本当に不思議だ」
言語については覚えれば何とかなるらしい。人によって聞こえ方が違うのか、通じる人と通じない人がいるのは不思議だが。
そして一番気になっていた事を尋ねる。
「ダニーはエルフなのか?」
「こっちの世界でも絶滅寸前の種族なのによく知っているね」
「…昔、本で読んだ」
此処の世界についてもだいぶ分かって来た。
「ここからその森に向かって元の世界に戻るにはどのくらいかかる?」
「直線ではすぐだけど、まあ、普通に行けば半年ぐらいかな」
想像よりもかなり遠いらしい。言語も通じないような世界だ。この山小屋から旅立つ準備も含めたらもっとかかるだろう。
(みんな心配するだろうな…)
そんなことより、ひとまず言わなければならないことがある。
「家事を手伝う代わりに、しばらくここに泊めて欲しい」
「別に構わないよ。最近話し相手が欲しいと思ってたところだし」
難なく受け入れてくれた。ここでいろいろ学んでから旅に出て元の世界を目指せそうで安心する。
(酒飲んで考えるの止めたい)




