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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第二章
44/223

44. 対話

「お前はどうやってあそこに来た?」


 可愛い少女は訪ねてきた。どうやら話し合いに応じてくれるようだ。俺は少し武器を降ろしながら口を開く。


「ダンジョンの探索をしていたら、気が付いたらあそこだった」

「……嘘は言ってなさそうだ。ここに攻め込もうとしていた訳ではないんだな?」

「ああ、誓って違う」


 正直に答える。少女はニヤリと微笑みながら口を開く。


「だがここを知ってしまった以上、そのまま帰す訳にはいかない」


 少女は剣をこちらに向け、突っ込んでくる。

 俺は斧を切り上げるようにしてその剣を弾く。全力で押し返したつもりだったが、少し剣を弾くだけに留まったので、弾くついでに相手との距離を取る。相手は剣を弾かれ、勢いが削がれたが関係無いかのように追撃を仕掛けてくる。


(手加減しながら勝てる相手じゃないな…)


 俺は無詠唱で雷の矢を目の前に設置する。発射しなくても相手から突っ込んで来てくれる。

 少女は一瞬顔を顰めたが、ギリギリでそれを躱す。その間、俺は複数の避け先に雷の矢を配置しておく。少女はイライラしてそうな顔をしながら少し距離を置く。俺は武器の柄を持ち、斧に魔力を纏わせ大きく振る。遠心力と魔力の放出で加速した攻撃をする。難なく避けられるが、動揺することなく俺は距離を取る。


「…面倒くさい相手だ」


 少女は小さく呟く。俺は最初の一撃で悟っていた。勝てないと。なので時間稼ぎをしながら少しずつ距離を取る。近くにあった森に段々と近づいていくように計算しながら、気が付かれないように距離を取る。目算で距離を確認しながら隙を窺う。

 そしてタイミングを見計らって大量の雷の矢を設置し、相手が距離を取った瞬間、俺はホバー走行で全力で森の中へと逃げる。


 後ろを振り向かずに全力で逃げる。これで逃げきれなかったら恐らく殺されてしまうだろう。

 必死で逃げ森に入って少し進んだ先でホバー走行を止めて、垂直に逃げる方向を変える。気配を消し、音を立てないようにしながら素早く逃げる。

 しばらくして追手の気配がしなくなってから、一息ついて休憩をする。


(やばかった…あのまま戦っていたら死んでたな…)


 体格差や技量では敵いそうにも無かった。俺はその後も周囲を警戒しながら森を進んで逃げる。

 戦闘で気が付かなかったが、ここはかなり寒い。俺はバッグからフード付きの外套を取り出し、着込む。フードを深めに被りながら、再び進む。眠気を感じるが我慢だ。


(寝たら凍死する…)


 どんどんと森を進んでいく。魔物や動物とは合わないように距離を変えながら進む。


(このくらいでいいか…)


 バッグから干し肉と水筒を取り出し、腰を下ろす。水筒で喉を潤し、干し肉をしゃぶりながら今後のことを考える。


(ああ、酒飲んで寝たい)

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