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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第一章
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4. 家族

 異世界転生してから数ヶ月が経ち、寝返りができるようになってきた頃。

 だいぶ魔力操作にも慣れてきていた。まだ、スムーズとはいかないが、しばらく動かし続けていてもすぐに眠ることはなくなってきていた。


(やればやるだけ成果がわかるとやりがいがあるな)


 魔力操作の練習をしているうちに段々と周りが話している言語の理解や家族構成がわかってきた。

 まず、自分の名前はルーク。ただ呼ばれているだけなので本名なのか愛称なのかは分からない。ただその名が呼ばれた時に振り向くととても喜ばれるから早々に自分の名だと分かった。

 兄はニーチェと呼ばれている。姉はリラと呼ばれている。こちらも本名なのか愛称なのかは分からない。それに年齢についても分からない。前世は自分の子供が居なかったから、子供の大きさから年齢の推測ができない。ただ、結構年齢は離れていると思う。そのせいか、すごくかわいがられている。

 母はほぼいつも部屋にいて話しかけてくれる。不在になるときは乳母が面倒を見てくれている。ちなみに母は可愛い。まだ二十代前半に見える。父は忙しいのか一週間に一回ぐらいしか見に来てくれない。ちなみに父もイケメンで結構体格がいい。二人の子供なので俺の将来は期待大だ。

 他にはメイドや執事みたいな人が出入りするぐらいだ。そんなみんなにたくさん愛情を注がれながら暮らしている。


 兄姉達は毎日遊びに来てくれる。ずっとニコニコしていてとても癒される。日々心が洗われて綺麗になっていく感じがする。兄の方は手を握りながらいろいろな話をしてくれる。話の内容はわからいこともあるが、おそらくその日あったことなどを話してくれているのだろう。とても楽しそうだ。姉の方は最初は兄と同じようにお話ししてくれていたが、最近は絵本を読み聞かせてくれる。姉は字が読めるらしい、兄もおそらく読めるだろうから彼らは優秀なんだろう。でも流石に早すぎではないだろうか。内容もよくわからない。だけど周りは微笑ましいものを見る目で見守っているので、まあいいかと思っている。言語を理解する上ではとても助かっているので俺はニコニコしながら聞いている。

 こんな感じで、言語学習の方も順調である。


 そんなある日、突然家の中が騒がしくなる。兄姉達はこの部屋に連れてこられて、おとなしくして居なさいと言われている。父の姿は相変わらず見ないが、今日は朝から母の姿を見ていない。そういえば昨日も忙しそうにしていた気がしてきた。


 兄姉達は不安そうだ。


(ここは何も知らないふりをして、兄姉達が来てくれたことを喜んでいる風を装って、にっこりと微笑んでやるか)


 楽しそうにしている俺を見て兄姉達は少し落ち着いてきた。

 そこからは、いつも通りいろんな話をしてもらったり、歌ってもらったり、絵本を読んでもらって構ってもらった。


 結局父や母が戻ってきたのはそれから一週間程経った後だった。兄姉達は安心したのか二人が帰って来たその日はすぐに寝てしまった。事情は明日以降話してくれるだろう。しかし、共働きか。裕福そうに見えて結構大変なんだな。兄姉達もいなくなったので日課の魔力操作をして強制的に眠りにつく。



 翌日、兄姉達は父と母から聞いたのか、この一週間のことを誇らしげに語っていた。

 どうやら父は騎士で、母は医師らしい。そして近くの森で魔物が大量発生し、その対応をそれぞれしていたらしい。


(へえ、やっぱりこの世界には魔物がいるんだ)


 他人事のように考えながら、両親の活躍を兄姉達から聞いていた。父は結構強く、優秀なため今回の討伐作戦では指揮を執っていたらしい。母も同じく優秀な治癒魔法使いで、二人ともたくさん活躍したそうだ。

 前世では蚊や蜘蛛、ゴキブリなどの虫しか殺したことがなく、将来自分も魔物を殺したりしないといけないのかとビクビクしながら話を聞いていた。


(母さんと同じように後方支援の仕事に就きたいけど、男だから騎士かな)


 前世は運動音痴だったし、この世界で少しでも長く生き残るためにもっと真面目に魔力操作の練習を頑張ろうと決心する。


(ああ、そんなことより酒飲みたいな)

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