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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第二章
37/223

37. 夏季休暇

 期末試験も終わり、明日から夏季休暇となった日。アリアネルに話しかけられる。


「ルークは夏季休暇、領に帰るの?」

「いや、帰らない」

「どこか行くの?」


 アリアネルが不思議そうに尋ねてくる。


「ああ、ダンジョンに行こうと思っているんだ」

「なんで?」

「いやちょっと欲しいものがあってな」

「なになに、アリィにプレゼントでも送るの?」


 キャロリンが話に入ってくる。ふと、キャロリンの言葉でアリアネルの誕生日を思い出す。


「そういや、もうすぐアリィの誕生日だったな。じゃあ、それはついでに買ってくるよ」

「……ついでなのね…」


 小声でアリアネルが言う。


「いや、忘れてたわけではないんだ。決して」

「…それならいいけど」

「はあ~、熱々な二人でさらに暑く感じるわ~」


 キャロリンが茶化してくる。なぜか今日はテンションが高い気がする。


「という訳でダンジョンに行く。アリィも行くか?」

「……行く」


 アリアネルの機嫌を直すのが大変そうだ。

 夏季休暇は一月しかない。その間に回れるだけダンジョンを回ろうと思っている。

 ダンジョンは上手くいけば短期間で大金を稼ぐ事が出来るらしい。アレックスとアランが言っていたので経験談だろう。

 王都周辺のダンジョンは好都合なことに比較的難易度が低く初心者向けらしい。ただ、通路が狭いところもあるので、ハルバードだけでなく、剣も持っていくように忠告された。


 そこで思ったわけだ。自動で開く折り畳み傘のように、ボタンを押すと伸びるハルバードを作れないかと。片手斧状態とハルバード状態で使い分ける武器。


(それは絶対かっこいい)


 さっそく武器屋に駆け込んで構想を話す。いくらで出来るか値段を尋ねるのと実現可能か確かめる為だ。

 提示されたオリジナル武器を作るのに必要な値段を見て、少し心が折れそうになったが、そこはかっこいい武器の為だと我慢する。実現可能かについては、強度に問題がある為設計から考え直さないといけないらしい。

 設計図が出来る一月後に金を持ってくると約束し、今に至る。

 出来上がった武器を思い浮かべてニヤニヤしながら金策を頑張ろうと決意する。


「何ニヤニヤしてんの?気持ち悪…」


 アリアネルが中々機嫌を直してくれない。


 そんなこんなで俺たちは夏季休暇をダンジョン攻略に使うことにした。

 まず挑むダンジョンをアリアネルと話し合っていると、なぜかキャロリンが話に入って来た。


「二人の実力ならここがおすすめよ!」

「いや、二人とも初めてだし、もう少し難易度の低いところから行くよ」

「それもそうだね」


 なんか少し残念そうだ。

 なんでも換金効率の高い素材が取れるらしく、実力があるならそこが良いらしい。俺とアリアネルはそこのダンジョンを夏季休暇の最終目標にして、初心向けのダンジョンから挑む事にする。


(武器を眺めながら酒を飲むのも悪くないな)

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