32. キャロリンの苦悩②
入学後は様子見に徹していた。
本来、ゲームは三年からスタートするので、それまではみんながどんな感じなのか知らない。
アリアネルは明るい性格もあってか、すぐに皆と打ち解けていた。その結果アリアネル、リチャード、イアン、私は常に一緒にいる事になった。
それは別に問題ない。問題はルークである。彼はいつもぼっちで休み時間も机に突っ伏して寝ている。ザ・陰キャという感じだ。アリアネル以外の人と話しているのを見たことない。
「アリィ。ブルスジルさんってどんな人なの?」
「う~ん。優しくて、頼りがいがあって、頭がよくて…」
「あ~、分かった分かった」
どうやらアリアネルはルークに好意を寄せているらしい。言動からして転生者ではないことは分かっているので、思っていたのの逆か。ルークの方が転生者と予想している。
話して確かめてみたいが、接点がない。講義が終わるとすぐに帰ってしまうし、休日も寮に居ないらしい。鍛錬をしているのか、一人努力しているのか、誰も知らない。
そんなある日、勉強会をする事になったのだが、アリアネルがそこにルークを呼びたいと言い出した。
「私は構わないわよ」
「俺達も大丈夫だ。なあ、ディック」
「ああ」
そんなこんなで、探りを入れられる機会がやって来た。
当日、ルークは最後に遅れてやってきた。すぐに皆で自己紹介を済ませて、席に着く。右隣がルークで正面がアリアネル、左隣がリチャード、右斜め前にイアンという感じだ。
何を聞こうかと悩んでいるだけで時間が過ぎていく。結局周りが騒がしくなったタイミングを見計らって、直球で聞いてみることにする。
「ルークはレベルいくつ?」
「レベル?なんだそれ?」
嘘をついている感じではない。知らないだけだろうかと思い追加で尋ねる。
「ステータスで見れる奴よ」
「ステータス……どうやって見るんだそれ?」
「頭の中に思い浮かべようとすれば自然と出てくるわよ」
「……何も思い浮かばないぞ…」
演技をしている様子もない。本当に知らないようだ。経験上ステータスについて私は見れるが、他の一般人は見れないらしい。ルークは転生者ではないのか。
(どういうことだろう)
そんなことを考えているとふとルークとイアンの会話が聞こえてくる。
「へー、冒険者か。ルークは強いのか?」
「アリィよりは弱い」
確かルークは辺境伯領で幼いころから鍛えられ、最初からパーティーメンバーの中で一つ抜けて強かったはずだ。
「えっ!アリィってそんなに強かったの?」
思わず口を挟む。
「アリィはドラゴンと互角に戦えるからな」
「そんなこと言ったらルークもでしょ」
「いや、俺は一対一は無理だ」
「嘘だ~」
「ホントだって」
そんな会話を聞きながら思う。
(あれ、私の心配事、解決してない?)




