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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第二章
31/223

31. キャロリンの苦悩①

 私、キャロリン・ボルドリーには秘密がある。

 それは私が五歳の時、ふと前世の記憶が蘇った時から始まる。


(ああ、私転生していたんだ)


 それが昔、気まぐれでプレーしたゲームの世界だと気が付くのはすぐだった。所謂、RPGのゲームで、ドット絵のレトロな雰囲気が魅力的なゲームだった。

 学園に途中入学してくる勇者候補の女性が主人公で、彼女の壮絶な過去と向き合いながら成長し、勇者になり魔王を倒す王道ストーリーだ。途中、乙女ゲーム要素もあり、攻略対象とは付き合うことが出来る。攻略対象はパーティーメンバーだけ。ただし、ストーリーには全く関係がなく、影響もない。


 主人公の名はアリアネル。幼い頃盗賊に襲われ、家族を殺され、その後その盗賊集団が竜の襲撃に会い壊滅した隙をついて、命からがら逃げ延び、神殿にある孤児院で成長する。

 幼い頃から手の甲に変な模様が浮き出ることがあり、不思議に思っていたある日、神殿の関係者にそれを見られてしまい、学園への入学が決まる。

 すぐにパーティーを組まされ旅に出る事になる。メンバーはイアン・ジョンソン、ルーク・ブルスジル、リチャード・タクステディア、ソフィー・スミスとアリアネルの五人。

 イアンは騎士団長の息子、ルークは辺境伯で軍の上層部の次男、リチャードは第二王子、ソフィーは神殿長の娘。一応ゲーム上では女性のソフィーとも付き合える。


 そして私は、第二王子の婚約者で殿下と主人公の仲の良さに嫉妬し、嫌がらせをする所謂悪役令嬢だ。ストーリーに関係ないパートなので、その後処刑されたのかどうかすら分からない。

 まあ、私自身が同じ行動を執らず、派閥の子達がちょっかいを出さないように見張っていれば問題ないだろう。


 ストーリーに影響のない人間なので、この異世界生活を楽しもうと心に決める。

 まずはレベル上げ、次に魔法の練習に励んでいた。


 もうすでにいろいろと魔道具はあり、知識チートは使えなさそうだったが、異世界生活を十分に楽しんでいた。


 異変に気が付いたのは、学園の入学試験の日だった。本来、途中で入学してくるはずのアリアネルが攻略対象のルークと仲良くしているのを見つけてしまった。ゲームの表紙よりも幼い容姿だったが、すぐに気が付くことが出来た。それぐらい完成された綺麗な顔をしていた。


 驚いた後、冷静になりこんな状況になった原因を考える。


(アリアネルも転生者で、ルーク推しの人だったとか…)


 別にそれ自体は問題ない。好きに恋愛してくれればいいのだから。問題は魔王を倒してもらわなければいけないことだ。レベルを上げ、勇者候補として覚醒し、魔王を倒す旅に出る。


 魔王が倒されないとこの世界はどうなってしまうのか。そんな不安が込み上げてきて、試験に遅刻しそうになる。


(試験に集中しなきゃ)

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