22. 嫌な予感
そして時は経ち、アリアネルが来てから三年が経った。
「ルーク!今日は剣術午後からだって!」
俺はアリアネルに非常に懐かれていた。
アリアネルには魔法の才能はなかったが、剣術にはものすごい才能があった。先に習い始めていたはずなのに、今ではもう絶対に敵わなくなっている。流石、勇者候補である。
「っ…!」
今日もまた模擬戦で負けてしまった。
「やっぱアリィは強すぎて俺じゃ相手にならないんじゃないか?」
「そうかな?ルークも周りに比べたら十分強いと思うけど」
(いやそういうことじゃなくてお前が強すぎるって話なんだけどな…)
「二人とも休憩は終わりだ。早く戻ってこい。」
「「はいっ!」」
俺が弱くてアリアネルの鍛錬にはなっていないのではないかと思うが、本人が楽しそうにしているから、まあいいかとなっている。
俺の魔法は母からは学ぶことがなくなって、自主練になっているけれど、剣術はちっとも上達しそうな気配がない。筋肉量が増えれば、魔力容量も少し増えるので剣術も頑張っているが、正直モチベーションはあまり高くない。俺とアリアネル、何が違うんだろうか。あの細い腕のどこにあんな力があるのか不思議でしょうがない。
そんなことを考えながら打ち合いをしていると父の部下の人が駆け寄ってきて何か話している。
「っ…!」
「よそ見なんて余裕だね~」
気になってチラチラ見ていたらアリアネルにまた一本取られてしまった。そんな会話をしていると、部下との話しが終わったのか父がこちらに駆け寄ってくる。
「父さん急な仕事が入った。今日の稽古はこれで終わりだ」
慌てた様子でこの場を去っていく。
後で聞いた話だと、冒険者ギルトから報告があり、森の奥で魔物が大量発生しているかもしれないので、調査して欲しいとの事だった。
「大事にならないといいわね。ルークは覚えてないかもしれないけど、あなたが生まれたときは大変だったのよ」
(転生したての頃、家の中が非常に騒がしかったあの頃か)
あの時は母も後方支援だけど討伐に参加していたから、最悪の場合今回もそんなことになるのかなと考える。
翌日帰って来た父によると、やはり魔物が大量発生していたらしい。街に被害が出ていないうちに討伐し数を減らしたいと言っていた。これから忙しくなるとも言っていた。母も後方支援で討伐に参加するぐらいの緊急事態だと。
数日間暇になった俺とアリアネルは毎日庭で剣を振っていた。毎回俺がボコボコにされているだけだが。
「疲れたから休憩しようぜ~」
「…まったく、ルークは全然やる気がないよね」
否定できない。剣術も魔術も最近は全く成長できていないから、モチベーションはない。幼少期バフはもう無くなってしまっていた。
そんな中でも悪い知らせはどんどん入ってくる。王都や周辺に依頼していた救援は魔導車の故障で到着が遅れるとの事で人が足りず、さらに魔物は食料が無くなって来たのかどんどんと街に近づいているらしい。
ということで俺とアリアネルも討伐に参加することになった。初めての本格的な実戦である。
(ああ、酒飲みたい)




