20. 少女
最初から気が付いていたが、後ろを付けられている。敵意がなさそうなので、放っておいたが流石に気になるので振り向きざまに問いかける。
「何か用?」
(ちょっと不愛想だったかな)
口調がきつくなかったか気にしながら、相手の様子を伺う。相手は三つ目の檻に一人で捕らわれていた少女だ。少女はゆっくりと口を開く。
「…あ…の……さっきはありがとう」
「どういたしまして」
静寂が訪れる。気まずくなってまた問いかける。
「さっきの場所に戻るの?」
少女は首を振る。
「あそこは嫌い。なんかやだ」
(そうは言っても付いてこられるのも困るんだよな…)
彼女はおそらくああいった場所から助けられることを求めているのだろう。しかし俺は子供だ。俺が直接彼女を助けることはできない。
どうしようか考えながら歩き始めると彼女も付いてくる。
(森の入り口付近の木の上に簡単な寝床を作ってやるか、食事は今日狩ったウサギを焼いてあげよう)
寝床の為に太くて頑丈そうな木の枝を切り落としながら進む。俺の行動に少女は最初困惑したように眺めていたが、最後の方は手伝ってくれた。
「ちょっと待っててくれ」
森を出た所で声をかける。少女をその場に留まらせ、俺は細い枯れた木の枝や落ち葉、燃えそうな物を拾い始める。ある程度たまったところでそれらに生活魔法で火をつける。
その後、大きな葉を生活魔法のウォーターで洗った後にウサギの肉包んで焼いていく。葉が焼けないように木で台座の様なものを組み、生活魔法のハード各隅を固めた特製の台で距離を置いている。なので焼き上がるまで時間が掛かるだろう。その間に大きな木の上に拾った太い木の枝で簡易ベッドを作る。ベッドを作り終わる頃にはすっかり日が暮れてしまった。
(今日はここで寝ずの番かな)
少女の寝ている間の見張りがいないことに気が付き、今日は帰れないことを覚悟する。
そんなことをしている間に肉が焼けたようだ。少女がこちらを見ている。
「それ全部食べていいぞ」
「いいの?」
「…ああ」
遠慮していたが、促し続けていると少女は食べ始めた。勢い良く食べ過ぎたのか喉に詰まらせて、胸元をたたいていた。俺は土を生活魔法のハードで固めたコップに生活魔法のウォーターで水を出してやり、それを彼女に勧める。
相当お腹が空いていたのか、本当に全て食べてしまった。食べ終わり満足そうにしているところで尋ねてみる。
「君はなんで捕まっていたの?話したくないなら話さなくていいけど…」
聞くと彼女は家族と旅行先に行く途中で乗合馬車を襲撃されたらしい。父親は殺され。母親は移動中に亡くなったらしい。あまりにも悲しそうにしているので聞いたことに公開する。詳しい部分はよく分からなかったが、深くは聞かないでおいた。
「……これからどうしよう…」
少女が泣き始めてしまってあたふたする。何もしてあげることが出来ずに落ち着くのを待った。前世から女性経験はなかったし、今も女性の、いや、同年代の子供と話す機会すらほとんどない。
しばらくした後、落ち着いた少女をおんぶし、気の上に作った簡易ベッドまで駆け上がりここで寝るように言って無理矢理寝かした。
俺は火の近くで寝ずの番だ。周りを警戒しながら火を眺める。
(今日は流石に飲んじゃいけない日だ)




