18. 狩り
魔法の練習だけだと飽きてしまうので、剣術もしっかりと父から習っていた。
最初のうちはひたすら基礎の型を練習していたが、今では実戦形式での練習もしている。
「もっと相手をよく見ろ」
「はいっ!」
踏み込んで父に剣を振り被る。
「踏み込みが甘い!」
「っ…!」
吹き飛ばされてしまった。体格や技術の面でまだまだ父には敵いそうにない。剣術の方は前世でも経験がないので、成長は普通の子供と同じだ。良くも悪くもない。
「よし、あとはちゃんと素振りをしておけ」
父に言われ素振りを始める。素振りをしながら父に問いかける。
「午後は狩りに行っていい?」
「ああ、あんまり森の奥までは行くなよ」
領主の息子として領内を視察することはよくあった。この地域は農業や畜産が盛んである。その中である日、屠殺場の視察に行くことがあった。気は進まなかったが父に言われた。
「いいか、決して目をそらしてはだめだぞ。自分たちが日々頂いている命なのだから」
この世界で生きてきて五年、前世より生と死が近い世界で生きてきてだんだんと思うようになってきていた。命のやり取りから逃げてばかりはだめだ。向き合わなければと。
そこで、慣れるために始めたのが狩りだ。正直慣れてはいけないとは思うが、将来魔物討伐に駆り出された時などに動揺しないようにしておきたい。
そんな話を父にすると森に行くことを許可してくれた。屠殺場であまりにもビクビクしすぎていて、流石にだめだと思っていたらしい。
ということで、午後は森へ向かう。森はこっそり動物や魔物と追いかけっこしていた事もあり慣れている。
(今日はウサギを狩るか)
周りの気配を探りながら森を進む。少しして前方方向から気配を感じる。今日の狩りの目標ではなかったため気が付かれないように進行方向を変える。
しばらくして目標のウサギを発見する。息を潜めて草むらに隠れながら近づく。
(このぐらいの距離かな)
父に昔、誕生日にもらった短剣を抜く。目標に目掛けて投げる。その際に手の甲から魔力を放出し少しでも速度を上げる。見事に命中し、一発で命を刈り取ることが出来た。
「ふー…」
その後は急いで家の厨房に向かう。自分ではできない血抜きや解体をしてもらうためだ。その様子をよく観察して覚える。
何回も見てきていたので、次からは血抜きをしてから持ってこれそうだ。
そんなこんなでこの二年間、精神的にも成長することが出来た。
今日の夕食はウサギ肉をやいたものらしい。塩と胡椒だけの味付けだが、これがまたうまい。自分で頑張って狩ってきたものというのもあるかもしれないが。
去年、姉も王都の学園に行ってしまい、少し寂しくなった食卓でそんなことを考える。
(ああ、酒飲みたい)




