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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
144/223

144. 学習

 魔王は魔力の塊を中心にして再生する。その塊を直接攻撃しようとしても、魔王の素早い攻撃を搔い潜りながらそれを狙うのは至難の業だ。

 俺は頭が良くも悪くも無い。平均よりは少し良いかもしれないが、小説やアニメの主人公の様に良策がポンポン思いつく訳では無い。そんな俺だから暇な時は常に戦い方を模索していた。こんな早い敵を相手にした時の想定もある。

 雷の魔法を使った時から、レールガンを作った時から思い浮かんではいた。小説やアニメの雷使いはよくそんな事をしていたからだ。脳からの電気信号を強化したり、脊髄から出したりで高速で動けるようになるとかそんな感じの奴だ。ただ電気を体に纏うと痛い。とにかく痛くて使用を断念した。

 相手と同じように動けないのならば、次に考えたのは相手の動きを読む事だ。相手も生物だ、脳から神経を通って筋肉に指示を出しているはずだ。その電気信号を読み解くことが出来れば、事前に相手の動きを予測してこちらも行動する事が出来る。

 俺はAIのアプリを立ち上げた。デコイに動きを学習させるために使っていたものだ。それは相手の見た目の動きを模倣させるだけだったが、今回はどのような動きにどのような指示が脳から出されているかも同時に学習させる。俺は魔力の膜をこの部屋全体に広げて魔王の体内を観察する。それをどんどん学習させていく。

 アリアネル達が魔王の気を引いている間に、俺はAIが次の動きを大体予想できるまでその戦闘を観察し続けた。思考が加速されていく気がする。ほぼ外れているが、相手の次の動きを正確に予想できるように意識を集中する。


(やるか)


 皆が魔王に吹き飛ばされたタイミングで、俺はそのまま魔王に突っ込んで、魔王を吹き飛ばす。そのまま俺と魔王の戦闘が始まる。最初は押され気味で相手の攻撃を流すので精一杯だったのが、段々と相手の動きに合わせてこちらの攻撃が当たるようになってきた。


(次は右からの払いが来る、上に跳んで避けよう。次は上に向かって振り上げてくる……よし、動きが読めるようになってきている)


 脳を酷使している感覚がある。俺は相手の斧ごと魔王を吹き飛ばす。そのまま立ち上がろうとする魔王を、切りつけていく。再生する傍から色々な部位を切り落としていく。魔力の塊が移動する先を狭めていく。


「イレギュラーがああぁぁぁ!」


 俺の狙いが分かったのか、魔王が叫ぶ。俺は気にせず攻撃を続ける。が、負荷が大きすぎた。俺の脳が負荷に耐え切れなくなっていく。頭が痛くなる。鼻から血も出てきた。


(あと、あと少しなのに………)


 魔王の核の様な物が見えた時に、俺は魔王の攻撃を躱しきれずに吹き飛ばされる。叩きつけられた斧で巻き上がる煙の中、俺は彼女の姿を見つけた。


「アリィィィ!」


 視界の端に映った彼女の名前を叫ぶ。アリアネルは待機していたのか、俺が限界だと気が付いていたのか、いいタイミングで攻撃を仕掛けていた。アリアネルが魔王の魔力の塊を突き刺すところが見えた。


(仲間が居なかったら、勝てなかったな)


 アリアネルと魔王が何かを会話しているのが分かる。内容が聞こえない。色々な物を酷使しすぎたのだろう、どこかの神経も焼き切れたのかもしれない。俺は倒れ込みながら意識が遠のいていくのを感じる。


(死ぬ時はたらふく酒を飲んで死ぬ予定だったのに…)

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