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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
143/223

143. 魔王

「イレギュラーか」


 魔王は俺を見た時そんな言葉を発した。そんな言葉を知っているのは転生者か、或いは。でも今はそんな事を考えている場合ではない。


「アリィ、俺が相手する。味方の回復を!」


 ソフィー一人では回復が追い付いていないように見えたので、俺が時間稼ぎをする。俺はまず挨拶代わりに魔法を起動して脳を貫く。


(まじかよ。再生すんのかよそれ)


 魔王は確かに頭を貫かれたが、その傷は見る見るうちに回復していった。俺は魔王の動きが一瞬止まっている隙にデコイを起動させて、魔王に突っ込んだ。魔王もその動きを見て俺に斧を振ってくる。その素早さに避ける事が出来ず、ハルバードで横から斧に衝撃を与えて斧の向かう方向を変えて何とか回避する。そのまま懐に潜り込んで相手に接近する。魔法を起動して頭を貫くと同時に俺は首を刎ねる。デコイには斧を持っている右腕を切り落とさせる。


(さて、どこから何が生えてくる?)


 気持ち悪い事に右腕から胴体が一気に生えた。


(…効率悪くね?)


 追撃で再び右腕を切り落としたが、今度は胴体から腕が生えてきた。


(考えろ。考えろ)


 何か法則があるはずだ。攻撃しながら、攻撃を躱しながら、相手を観察する。そこである事に気が付く。魔王は体内の魔力を移動させている。俺も移動させているが、魔王のそれは魔力の塊が動いているように見えた。そして魔王はその塊を中心に体を再生させている。


(定番だとそれを切れば、復活できなくて死ぬはずなんだけどな)


 以前、キャロリンから魔王の特徴を聞いていたが、魔王は他の魔物と違って、体力が削られると体力を回復すると言っていた。受けきれないような攻撃を与え続けると倒せると。それが実写になると、こんな表現になるんだなと思った。

 俺は相手の不意を突くような攻撃で何とか戦えていた。魔王の行動は早すぎる。気を抜いたら斧で真っ二つにされそうだ。一人でこのまま戦い続ければ、間違いなく俺は殺される。策は無くは無いんだが、出来ればやりたくない。


(あれ、やるしかないか)


 奥の手を使うには時間稼ぎが必要だ。見方が回復してからにした方が良い。それまでは禁酒二日目のバフで耐えきるしかない。


「あとどのくらいだ?」

「もうすぐ!………」


 その言葉通り、回復したのか、皆が立ち上がる。皆また戦えるような状態になったようだ。


「時間を稼いでくれ。策がある」


(酒飲みたくてイライラしてきた)

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