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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
142/223

142. ヒーローは遅れてやってくる

 俺は寝坊した。長旅と連戦で思ったより疲れていたみたいだ。


(やばい!寝すぎた!)


 俺は急いで装備を整えて部屋を出た。部屋を出た所に双子とティナが居た。そしてアリスは俺に駆け寄って来た。


「パパ…また戦いに行くの?」

「ああこの戦いを終わらせてくる」

「…パパ行っちゃだめ!パパが死んじゃう!」


 俺の返事を聞いたステラが俺の行く先を止めてくる。小さい手を広げて先に行けなくする。俺はステラとアリスの頭へと手を乗せて撫でてあげる。


「大丈夫だ。俺達は勝つさ。必ず戻ってくる。死なない」

「パトリシアお姉ちゃんも同じこと言ってた…でも、でも」


 二人は涙を浮かべて反論してくる。昨日、パトリシアが死んだんだ。この幼い子達がそれを引きずっていてもおかしくない。俺は二人を引き寄せて抱きしめる。


「俺は二人を守り切るまで絶対に死なない。必ずな」

「…また……私、達が弱いから…」

「それは違う。俺がお前達を愛しているからだ。父親にカッコつけさせてくれ」


 俺はそれだけ言うと二人を置いて歩き出す。


「ティナ、記憶戻ってるんだろ。二人の傍に居てやってくれ」

「……」


 俺は砦を出た。砦を出た所に部下達が待っていた。皆敬礼をしていた。


「お前らちゃんと仕事しろよ……行ってくる」


 俺は開けた草原まで走ってから、足の裏に魔力を集める。昨日のドラゴン討伐で戻ってくる時以上の魔力はある。魔王城まで跳んでも戦う魔力は十二分にあるだろう。


(ヒーローは遅れてやってくるってか、柄じゃないんだけどな)


 俺は魔力を一気に放出して空を飛んだ。空に上がったところで着地地点を計算しながら魔力を放出し、向きを調整する。


(どこに着地するか、やっぱ魔王城かな)


 俺は魔王城の壁へと突っ込んだ。魔力で全身を覆って防御しながら突っ込んだので、俺は無傷だった。急いで魔力の膜を広げると運が良いのか、全員がその部屋に居た。イアンとリチャードは負傷していてソフィーの治療を受けている。ソフィーも怪我をしているように見える。アリアネルは魔王と思われる人物と対峙していた。


「遅かったじゃん」


 アリアネルが軽口を叩いてくる。


「悪い。寝坊した。でも後は任せておけ。今の俺は禁酒二日目だ」


 そう、今の俺は昨日酒が飲めずに寝てしまったので禁酒二日目の状態だ。寝まくったから体調が良い気がしないでもないが、そんな事は些細な事だろう。絶好調な俺は魔王に負ける気がしなかった。


(アリス、ステラ…帰ったら一緒に夕飯食べような)

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