14. 神殿長
おじいちゃんの長い祈りのような行為が終わると、みんな各々解散していった。俺達も流れに従って外へと向かう。
実を言うと、もう少し見学していたかったが、あのおじいちゃんに顔と名前を覚えられるのも後々面倒くさい事になりそうなので素直に外へ出る。
「ちょっと早いけど、ニーチェを迎えに行きましょうか」
母に言われ、頷いた後一緒に歩き始める。少し進んだ所で一番の疑問を聞いてみる。
「さっきのおじいちゃんは誰?」
母は一瞬驚いた顔をしたが、丁寧に説明してくれる。
あの人は神殿長らしい。つまりこの国の神殿関係者の中で、一番偉い人だ。さらに現国王からの信頼も厚いらしい。そんな人に目をかけられたのだ、母と姉が誇らしそうにしているわけだ。しかし、母はまだしもなんで姉も知っているのかと不思議に思っていると、数年前に自分達の領地の神殿にも来てくれた事があるらしい。なんでも、各地の神殿を回っているらしい。なんでそんな事をしているのかはよく分からなかったが、うん、大変そうだ。
あとそれから王都の学園の入学式と卒業式で挨拶もしているらしい。そのお陰か、貴族で彼を知らない者はいないらしい。
(俺なんか失礼なことしていなかったかな)
そんなことよりふと更なる疑問が湧いてきた。どうして、才能の有無がわかるのだろうか。それについては二人もよくわからないらしい。転生者ということがばれた訳ではなさそうだったし、謎が深まるばかりだ。
(魔法がある世界だし、鑑定のスキルとかあったりするのかな…)
勘違いで目立たないように、常識をよく学ぶことを心に決める。派閥争いや国同士の争いに巻き込まれるのは御免だ。
そんなことを話しているうちに学園に着いた。少し早かったのか、兄はまだ居ない。
それからしばらくして、兄が驚いた顔をしながら出てきた。予定よりも早い時間に自分達がいる事に驚いている様子だったので、神殿での出来事を話したら、兄は納得した顔をして頷いていた。「僕の弟はやっぱり凄い!」などと言っている。
(出る杭は打たれるって言うしな)
平凡に生きたい俺としてはあまり自慢されたくない出来事だ。苦笑いで受け流しておく。
その後宿に帰り、前日同様晩御飯を食べる。
今日は鍋らしい。家族で鍋をつつくのはやっぱりいいな。
兄に学園内の様子や寮の部屋、相部屋の相手について話を伺いながら鍋を食べる。これからの学園生活が楽しみなのか、いつもよりテンションが高いと思う。
お風呂に入り寝る準備をする。今日はたくさん歩いたお陰か、すぐに眠りにつけそうだ。楽しい観光の思い出を思い出しながら眠りにつく。
(あの鍋、しょっぱいから辛口の酒が合うだろうな)




