131. 招集
俺がティナを鍛えていた間に自軍達は再編成が終わって、戦線も以前の様に安定してきた。そんなある日、俺は総司令部に呼び出されていた。
(嫌な予感しかしないんだよな)
案内された部屋に向かうとそこには勇者パーティーが居た。
「やあ、ルーク久しぶり」
「ディック、学園ぶりか?」
「ああ」
まず扉に近い位置に居たリチャードが話しかけてきた。俺はアリアネル、イアン、ソフィーにも順に挨拶をしていく。
「ソフィー、その、父さんの事悪かったな。あの時はちょっと余裕が無くて」
ソフィーの父親はあの神殿長だ。俺が死に追いやったと言っても過言ではない。
「うんん、気にしないで。私はお父さんに邪険にされていて、関りは殆どなかったから」
「とは言っても血の繋がった肉親だ。謝罪は受け入れて欲しい」
「…ありがとう」
一通り挨拶を終えた事で俺は周囲に視線を向ける。
「それで、これは何の集まりなんだ?」
「さあ、私には分からない」
「…多分、遠征に、ついてだと思う」
「遠征?」
「それは俺から話す」
ソフィーと俺の言葉を遮ってマシューが会話に入って来た。俺は軍人なので敬礼をして道を開ける。勇者パーティーの皆は堂々としている。
「楽にしてくれ」
「はっ!」
何か俺だけ軍人をしていて、少し恥ずかしい気持ちになっていく。
全員が椅子に座った後、マシューは話し始めた。
「お前達には魔王討伐に向かってもらいたい」
「はっ!」
(またそんな唐突に)
お前らなら簡単だろうと言わんばかりな言い方でマシューは言ってくる。俺は軍人なので思わず返事をしてしまったが、出来る事なら行きたくない。双子の事が頭に浮かんできた。
「我が軍は今、他国の者達に比べると余裕がある。それに国王は周辺諸国への協力も取り付けた」
タクステディア王国が敗れた後の次は周辺諸国だからな。武力を貸すぐらいなら協力してくれたんだろう。そして援軍が来る俺達が魔王討伐に戦力を出すよう、二ルクス帝国とレッドクリフィア公国に言われている。そんな事が言いたいんだろう。
(傍迷惑な話だ)
「悪いが拒否権は無い。前回の様に大敗したらもう後が無い。余裕のある今が最後のチャンスだ」
どうやらもう決定事項のようだ。
(それよりも、魔王か、強いのかな)
キャロリンから大体の特徴を聞いているが、正直俺の実力だけでは敵わないだろう。皆が居るから可能性は無くはないんだろうが。
(双子を見ながら酒を飲むのも最後かもしれないな)




