129. 暗殺者④
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「謝罪なんていらない。死ね」
(ああ、私、死ぬんだ)
魔王が私の首を刎ねようとする。その瞬間、時が止まったように思考が進んで行く。
(あれ?私、捕らえられて、拷問されていたんじゃ?)
毒の様な物を飲まされて死んでいく途中だった事を思い出す。
(そうか、私の走馬灯ってこんななのか)
悲しいような寂しいような気持ちになっていると、何か暖かい物に包まれた感じがして、温かい気持ちになり、安心していく。
「知らない天井だ」
「起きたか」
目が覚めると私はベッドの上で寝ていた。目の前には雷撃の悪魔が居た。そして左手には私と同い年くらいの少女が二人、手を握りながら眠っていた。
「…この子達は?」
「こっちがアリスで、こっちがステラだ。さっきまでは起きていたんだがな、眠ってしまったみたいだ」
そんな事を聞きたっかたのではない。予想外の回答の後、私は再び天井を見た。殺されそうになって安心してたはずなのに、今は生きていた事に安心していた。
(私はどうしたいんだろう。死にたいの?生きたいのかな?)
また、涙が溢れてくる。私は右腕を目の上に乗せる。そこで手足が元通りになっている事を知る。
「…なんで、殺してくれなかったんですか?」
「さあな。気まぐれだ。アリス!ステラ!」
「…パパな~に?」
「この子が怖くないように今日は一緒に寝てやれ」
「「は~い」」
そんなやり取りでこの人達が親子という事実を知った。
(似てない)
右手側にアリスが、左手側にステラが寝転がってくる。一人用のベッドの為、少し窮屈になる。思わず笑顔になって気が付く。
(…暖かい)
こんなに人の温もりを感じたのはいつぶりだろう。両親と離れてから人とくっついて寝る事なんて無かった。
(あれ、無かった…よね?…あれ?)
知らない記憶が頭の中に溢れてくる。記憶の蓋が取れたかの様に記憶が溢れてくる。
(そんなの、そんな幸せな記憶は無かった…無かった!)
私は頭を抱えて蹲る。感情がごちゃごちゃになる。
「…ああ、ああああ」
「ティナ?どこか痛いの?」
「回復魔法を今掛けるね」
アリスが心配して声を掛けてくれて、ステラは回復魔法を掛けてくれた。そんな双子がいろいろ心配してくれている横で私は頭の痛みに耐えていた。
(また、意識が遠のいていく。なんで、また)




