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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
126/223

126. 暗殺者①

 私、ティナは暗殺者だ。そして転生者だ。


 生まれた時に転生したとすぐに分かった。そして両親の耳を見てここが異世界だという事が分かって、物凄く嬉しかった。小説やアニメや漫画で見て夢にまで見た異世界転生だった。更にエルフとして生まれた。エルフと言えば弓の扱いが上手くて戦闘力があり、それに長寿だ。この世界を目一杯楽しもうと夢を膨らませていく。

 しかしその夢は数ヶ月で潰える事となった。

 集落が鬼のような人達に襲撃されたのだ。父は殺され、母は捕らえられた。母のその後は想像したくもない。私は大人しく黙っていたお陰か、奴隷として売られることとなった。


(目の前で泣いていた子供が殺されて声が出なかっただけだけど…)


 私が主人公なら、こんな時スキルや秘められた能力で集落を救えたんだろうが、私にそんな力は無かった。

 私は幸か不幸か、変な宗教団体に買われたので過度な虐待は受けなかった。幼い頃から洗脳や戦闘訓練を受けさせられた。戦闘力は平凡だった為、言われた事が出来なかった時、食事を与えられなかったりした。そんな私が生きていられたのは記憶力の良さと、前世の武器に関する知識のお陰だ。爆弾や地雷などを開発してその知識を披露していたお陰で組織内で生き残る事が出来ていた。

 でも、自分の身を守る力は私には無かった。戦闘訓練では毎日ボコボコにされていた。そこで私は自分だけの武器を作る事にした。銃だ。私だけの武器にする為に、作成方法や仕組みは誰にも教えなかったし、誰にも盗まれないように死守した。

 そのお陰か、私は暗殺者として唯一無二の存在となり、組織になくてはならない存在となった。日々暗殺対象を殺していくだけで何とか生き延びていた。


(死にたくない)


 ただそれだけの為に毎日の苦痛に耐えてきた。前世の記憶があったお陰で、苦痛に耐えられていたが、周りは私と同じでは無かった。何人死んだのだろう。もう覚えていない。


 生きていく中でこの集団が魔族だという事も、良い組織ではない事も分かってた。ただ、従うしか生きていけなかった。

 そんな日々の中、私は八年生き延びた。


(任務で誰か私の事、殺してくれないかな)


 そんな思いが芽生えるようになっていた頃、新たな暗殺命令を受けた。雷撃の悪魔、タクステディア王国対魔族第二部隊隊長のルーク・ブルスジルの暗殺。


(彼とは何の関わりもない。でも死にたくないから彼を殺す。……ただそれだけ)

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