123. 同時襲撃
その日、魔族の襲撃が行われた。
『隊長、魔物の群れです』
「第三、第四中隊に対応させろ。くれぐれも深追いはさせるな」
『『はっ』』
俺は急いで第二部隊の本部へと向かう。
「状況は?」
「魔物の群れ、数は不明。数分後に交戦予定です」
「ほかの中隊には周囲を警戒させろ」
魔物の群れは統率が取れているらしい。恐らく魔族が居るだろう。
「居るか?」
「はっ!ここに」
「魔族を探せ」
「はっ!」
密偵に魔族を探させて俺は続報を待つ。魔物はやはりヒットアンドアウェイでこちらが深追いをしてくるのを待っていて均衡状態が続いている。
「誘いに乗るなよ…何だ?」
味方に指示を出していると密偵が姿を現す。
「他の部隊にも魔族が同時襲撃を行っています」
「なるほど、被害は?」
「深追いして地雷にやられて壊滅状態になっている部隊が多数」
「その後部隊は?」
「戦線離脱し、本拠地を放棄して後退している部隊が多数。無事な部隊は戦線の維持に尽力しています」
あれ程警戒するように言っていたが、無駄だったようで味方はまんまと敵の罠に引っかかったようだ。
「無事な部隊はどこだ?」
「タクステディア王国の部隊のみです」
「他国は信用しなかった訳か」
しかしそうなるとまずい。タクステディア王国の部隊の端に居る為、第一部隊は横からも挟撃される可能性が出てくる。すぐにタクステディア王国の部隊も後退すべき事態だ。
「総司令部に第一部隊から順に第三、第二と順に後退するよう進言しろ」
第三部隊は山岳地帯に駐屯している為、撤退の判断は早めにしないと手遅れになりかねない。
『隊長!海上に多数の魔物を視認、上陸している魔物も確認しました』
周囲を警戒していた第一中隊から新たな敵の確認が報告される。完全に包囲されている。陸上の襲撃が続いていた為、海上への意識は少し薄れていた。
「村民に避難を指示しろ。第一、第二中隊は上陸した魔物に対処しろ」
『『はっ!』』
俺は続いて通信機を使ってパトリシアに連絡を取る。
「パトリシア、囲まれた。逃げろ」
『了解』
「俺達もギリギリまで耐えた後、後退する。準備を急げ。俺も時間稼ぎに前線に出る」
周囲に指示を出し終えた後、俺は戦場へと向かう。対応が遅れた海へと向かう。陸の方は均衡状態が続いていた為、大丈夫だろう。強力な個体が居た訳でもないので俺は迷わず海へと急いだ。
『た、隊長!じ、じ、地面がいきなり』
海に辿り着いた時、慌てた様子のトム、第四中隊からの通信が来た。
(次から次へとあれだけ準備したって言うのに……ああ、酒飲みたい)




