121. 戦略
俺が地雷の存在を早々に報告したお陰か、自軍は仕掛ける事を止めていた。対する敵軍も味方が巻き込まれかねない武器を使用している為、最近は攻めてきていないそうだ。
(明確な時間稼ぎだろうな)
俺はすぐに作成した魔導具のコンパスを総司令部へと送り付けた。ついでに近況から敵が大規模な作戦を計画している可能性を論理的に書いた手紙も報告書として送り付けといた。
全ての部隊を見た俺の予想だが、一番手薄なここが狙われて一気に内部へと攻め込むのが正攻法だろう。勇者が近くにいる第一や第三部隊を狙うのはリスクが高いだろう。願わくば他国の部隊を攻めてくれるのが理想だが。
(準備が必要か…)
俺はまず、コンパスを腕時計型にして隊員分製造する。使い方を説明して逐一これを確認しながら戦闘できるように訓練をさせる。敵は前線に戦力を投入するのではなく、こちらの内部を潰すために戦力を使いたいだろう。誘い込んで地雷で攻撃してくる。それが俺の予想だ。
「良いか、お前ら、深追いは絶対にするなよ。地雷が仕掛けられているはずだ。無駄死にする事になる」
「肝に銘じます」
「分かりました」
「了解です」
「はい、了解でーす」
中隊長達に口酸っぱく注意し続けた。そして他に俺ならどうするかを考え続けた。
(杞憂であってくれよ)
「居るか?」
「はっ!ここに」
「敵に動きは」
「見ている範囲内では特に。もっと深くまで探りますか?」
「そうだな。だが自分の命第一に行動しろ」
「仰せのままに」
やれる事は全てやったと思う。後は双子の事についてだ。
「二人は前の家に帰るんだ」
「やだ、パパと一緒に居る!」
「ステラも!」
「はぁ~」
普段は聞き分けが良いのだがこういう時は素直に聞いてくれないのは悩みだ。
「アリィ聞こえるか?」
『………どうしたの?ルーク』
「キャリーと連絡は取れるか?」
『うん、出来るよ』
「パトリシアに双子を迎えに来るように頼んでくれと伝えてくれないか」
『分かった』
「ありがとう」
俺みたいに空をジャンプ出来る奴は居るか分からないが、後ろから攻められる事も考慮しておかないとな。
「「やだやだやだやだやだやだ」」
「これは決定だ」
「「ぶー」」
俺はそんな双子を置いて夕食を作り始める。双子はその間も服をひっぱたりと反抗をしてくる。可愛いがもう少し親離れをして欲しいと思う。この年齢ならパパ臭いとかってなるんじゃないのか。素直に育っているのは良い事だが。
(双子を見ながら酒を楽しめるはあと少しか)




