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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第一章
12/223

12. 王都

 目が覚めると王都だった。母に抱えられながら街を歩いている。街の喧騒で目が覚める。


「ルーク、もうすぐ宿に着くからもうちょっと寝ていても大丈夫よ」


 母にそう言われたが、たっぷり寝たせいか眠れそうにない。王都を見渡す。流石というか、人が多い。誰かと手を繋いでないと絶対に迷子になりそうだ。

 もう夕方の時間帯とあって、帰る人で賑わった王都を眺めながら考える。

 確か明日は、寮に兄の荷物が届くので兄は明日は寮に行くらしい。その間俺たちは王都を観光する。そして明後日が入学式で、明々後日に家に帰る予定だ。意外と滞在時間は短い。


(めったにない機会だし、楽しまないと損だな)


 幼子らしく、見たことないものに指をさし、「あれ何?」と質問しまくる。

 そんなことをしていると宿に着いた。宿は普通だった。ビルのような建物の三階らしい。広さも四人にしては普通だろう。


(なんというか、異世界って感じがないな)


 前世のような建物に既視感を覚えつつ、部屋を眺める。天井にこの世界では見慣れない照明器具がある。これの動力源も魔石らしい。家はロウソクなので、初めて見るそれに兄姉達は夢中だ。


(魔石便利だな)


 前世平凡だった俺ですら、いろいろな利用方法が思いつくし、異世界人がいなくてもこういうものは思いつくものなのかな。などと俺は兄姉達とは違うことを考えていた。


(まあ、難しいことは後で考えればいいか)


 その後、俺たちは一階の食堂で食事を取った。食事も宿だからだろうか、普段の食事と大差なかった。まずい訳では無いが、想像通りの味でちょっとがっかりした。

 しかしよくよく考えてみれば、同じ国内だし、そんな劇的に味や料理が変わるわけないかと思い至る。初めての遠出に期待が高まりすぎていたみたいだ。


「ルークは明日の午後、どこに行ってみたい?」


 食事中母からそんな質問をされた。しばらく「う~ん」と考えた後、答える。


「さっきの冒険者ギルドに行ってみたい!」


 宿までの道で聞いた場所を答える。


「あそこは危ない場所だから駄目よ。神殿に行ってみない?」

「うん!行ってみたい!」


 異世界あるあるで冒険者はならず者がなる職業らしい。却下されてしまった。まあ、神殿にも興味があったので特に問題はない。


「神殿ってどんな場所?家の近くにあるのとは違うの?」

「神聖な場所よ。家の近くにあるものとは比べ物にならないくらいね」


 らしい。家の近くにあるのは木造で茶色い建物だが、王都にあるのは真っ白な建物らしい。


(やっぱり神殿と言えば白だよな)


 少し楽しみになりながら、その後はお風呂に入り、ベッドに潜り込む。昼間たっぷり寝たせいかなかなか寝付けないので、体内の魔力量を減らし無理やり眠りにつく。思考力が低下して、ふわふわしてくる。久しぶりの感覚に前世の記憶がよみがえる。


(夕食時、ビール飲みたかったな)

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