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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
116/223

116. 均衡状態

 俺達は魔族が攻めてこない間にせっせと基地を拡張していた。そんな中、暇だったのかトムが話しかけてくる。


「隊長は何で魔族領に攻め込まないんすか?」

「まあ、端的に言うと人手不足だな」

「第二部隊は結構余裕があると思うんですけど」


 確かに第二部隊は連勝していて余裕がある。しかし他の部隊や他国の部隊も同じという訳では無い。他が攻められない状況なのに俺達だけが進んで行ったら、恐らく分断されて各個撃破されて全滅するだろう。そんな話をトムにしてあげる。


「まあ、タクステディア王国の部隊は今は全て余裕がある状態なんだけど、他国がな…」

「第一と第三にも隊長みたいな強い人が居るんすか?」

「…お前本当に何も知らないんだな。第一と第三は勇者パーティーが支えてんだよ」

「…!勇者パーティー!あの白銀の戦乙女ですか⁉」


 アリアネルは白銀の戦乙女と言われている。鎧が白銀だからそう言われているらしい。


(まあ、勇者パーティーの中でもあいつはずば抜けて強いからな)


 勇者パーティーには他にもイアン、リチャード、それにソフィーが居る。所謂同級生パーティーだ。その為、連携の熟練度も他のパーティーよりも優れている。彼らによって第一と第三部隊は戦線を維持できていると言っても過言ではない。


「憧れでもあるのか?」

「そりゃ、一目見てみたいすよ」

「そんなもんか」


 そんな事でこの戦争は長い間、均衡状態に陥っている。今のところは物資も滞り無く届いているが、いつまでもこの状態が続くと流石にまずいのではないかと思っている。上層部は国内の立て直しに奔走していて、こちらまで手が回っていない状態らしい。


(相手の国力が不明の中で、いつまでも籠城はまずいと思うんだけどな)


「まあ、俺達は命令された任務をこなすだけだ」

「そっすね」


 そんな他愛もない話をしていると、俺はある反応が地中にある事を確認する。


「第三中隊、作業を停止させろ!地中に何か罠の反応がある!全員が離れた後、魔法で攻撃しろ!」

『はっ!』

「第四中隊も援護に行ってやれ」

「了解っす!」


 第三、第四中隊に指示を出した後、俺は密偵に指示を出す。


「居るか?」

「はっ!ここに」

「罠の破片を回収して調べろ」

「はっ!」


 地中に魔力反応があるだけで罠では無い事を祈りたい。地雷の様な武器が開発されていたのなら魔族領への侵攻はより困難を極める事になりそうだ。


(早く落ち着いて酒が飲みたいな)

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