115. 新たな力
俺達第二部隊は進軍していた。と言っても、すこしずつ基地を拡大しているだけだ。周囲の安全を確認してから村民たちに簡単な城壁や矢倉を立ててもらっているだけだ。この作業をしている時が一番敵が攻めてくる。俺は魔力の膜を広げて常に周囲の状況を把握していた。
「隊長!」
「分かっている敵襲だ。第四中隊は村民の避難を、第一と第二で迎え撃つ。第三は援護だ」
「「「「はっ!」」」」
部下達はテキパキと動き始める。俺はそれを見ながら近くに居るであろう密偵に話しかける。
「数は?」
「確認中ですが、最低でも五千は居るかと」
(まじかよ)
「作戦変更。第一と第二は待機だ。俺が行く」
『了解です』
『了解』
イヤフォンからそれぞれの返事が聞こえる。俺はそのまま魔物の群れが居るであろう場所へと駆けていく。大体千ぐらいの魔物が俺の探知範囲に入ったところで、アプリを起動していつもの処理をさせる。視認は出来ないが、頭から血を吹き出し魔物が倒れていっているのが感じられる。
(さて、これで引いてくれるか、それとも…)
状況は変わらなかった。魔物の進軍は止まらなかった。俺は追加で三千の魔物を討伐したところで、集中力が切れてきた。精神的に限界だ。俺は声に魔力を乗せて声を出す。
「残り千だ。第一と第二!任せた」
『『はっ!』』
俺はその場に留まり魔物の動きを観察する。統率が取れた動き。恐らく魔族が居るだろうが、まだ密偵達からの報告が無いので見つかっていないのだろう。
そんな事を考えている時、後ろから殺気を感じる。俺は咄嗟に斧を後ろに振った。
(またこのパターンか)
「よう、お前が雷撃の悪魔か?」
「そうだと言ったら?」
「殺す!」
相手の魔族は真っ直ぐに突っ込んでくる。物凄いスピードに俺は弾き飛ばされる。反動で後ろ向きにバク宙しながら立ち上がって、仲間に連絡する。
「魔族が現れた!全員防衛に徹しろ!」
『『『『はっ!』』』』
これで戦いに集中が出来そうだ。今度は俺から仕掛ける。デコイを発生させて左右から挟み撃ちにする。逃げられる方向には雷の矢を設置して追い詰めていく。
「噂以上だな。雷撃の悪魔!では、これを使わせてもらうぞ」
魔族は丸い小さな粒を取り出してそれを飲み込んだ。魔族の肉体は膨張していき、魔力量も増加していく。
(…ドーピングみたいなものか、思ったよりやばそうだな)
肉体の膨張が終わった時、魔族は俺に向かって突っ込んでくる。更にスピードが上がっていた。俺はそれをギリギリで躱す。魔族は後ろにあった岩に激突した。見たところまだ制御出来無いみたいだったので、俺はその隙を見逃さず、魔族の頭を切り落とす。
(阿保で助かった。………酒飲んで寝たい)




