114. 鼓舞
俺は中隊長全員に集まってもらった。
「先日の戦闘で感じた事を話したい」
「まさか、訓練の話ですか?」
ポールが尋ねてくる。
「それもあるが、まずは気の緩みだな。俺が隊長になってから負けなし、勝利が当たり前になって兵士達に気の緩みが発生してしまった」
「なるほど、士気は高いのにどこか緩んだ雰囲気はそれですか」
「ああ、恐らくな」
「それは分かったすけど具体的に何をするんですか?」
トムが話に入ってくる。
「なに、ただアリスとステラを訓練場に連れてくるだけだ」
「なるほど、あの双子ですか」
「?」
「隊長の娘さんだ」
「隊長子持ちだったんですか⁉俺よりも若いのに……」
(え、トムって俺より年上なの?)
トムは見た目が若い為、一番の年下としてこき使っていたが、人生の先輩だった。そこでふと全員の年齢を全く知らない事に気が付く。
「そういえば、皆はいくつなんだ?俺は二十歳だ」
「私は三十八です」
「俺は三十だ」
「私は二十五です」
「同じく二十五で~す」
第一中隊の隊長ポールが三十八で、第二中隊の隊長のショーンは三十。この二人は大体見た目通りだ。問題は後者二人、ピーターとトムが同い年という事に衝撃を受けた。第三中隊隊長のピーターはもっと年上だと思っていたし、第四中隊隊長のトムは俺よりも五つも上だった。
「どうしました?隊長」
「いや、皆の年齢が少し意外だったからな」
「…はぁ、今更そんな事を」
そんな事で俺は普段の訓練に双子を連れてくる事にした。双子の実力を見て、良い影響を与えてくれれば良いんだが、果たして上手くいくかどうか。
翌日、俺は双子を連れて訓練場を訪れた。
「お前らは普段通りの訓練をしろ!」
「「「はっ!」」」
見張りをしている部隊の中隊長、ポール以外の中隊長達に命令を出して、俺は二人に準備運動するように言う。俺も体を伸ばしたり曲げたりと準備体操をしてから双子にまず、素振りをさせる。その次は軽く筋トレさせてからその辺を走らせる。双子が走り始めてから周囲がどよめき始めた。八歳の子供にしては早すぎるスピードで走っているためだ。模擬戦を始めたあたりでは周囲に休憩していた兵士がギャラリーとなっていた。
アリスが前衛でステラが後衛から魔法を無詠唱で放つ。俺はそれを躱し、いなし、弾いて気が付いた点を注意していく。
「さて、今日はここまでかな。お前ら!見てないで訓練を再開しろ!」
怒鳴ると兵士達は慌てて元の位置に戻っていく。
「二人は今回の模擬戦の反省点をレポートにまとめる事」
「「え~」」
二人は可愛く頬を膨らませているが、これは学園に入学した後に困らない為に大事な事だ。文章を書く練習は後々役に立つと思う。
(後は礼儀作法か。酒飲んでから考えよう)




