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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第四章
114/223

114. 鼓舞

 俺は中隊長全員に集まってもらった。


「先日の戦闘で感じた事を話したい」

「まさか、訓練の話ですか?」


 ポールが尋ねてくる。


「それもあるが、まずは気の緩みだな。俺が隊長になってから負けなし、勝利が当たり前になって兵士達に気の緩みが発生してしまった」

「なるほど、士気は高いのにどこか緩んだ雰囲気はそれですか」

「ああ、恐らくな」

「それは分かったすけど具体的に何をするんですか?」


 トムが話に入ってくる。


「なに、ただアリスとステラを訓練場に連れてくるだけだ」

「なるほど、あの双子ですか」

「?」

「隊長の娘さんだ」

「隊長子持ちだったんですか⁉俺よりも若いのに……」


(え、トムって俺より年上なの?)


 トムは見た目が若い為、一番の年下としてこき使っていたが、人生の先輩だった。そこでふと全員の年齢を全く知らない事に気が付く。


「そういえば、皆はいくつなんだ?俺は二十歳だ」

「私は三十八です」

「俺は三十だ」

「私は二十五です」

「同じく二十五で~す」


 第一中隊の隊長ポールが三十八で、第二中隊の隊長のショーンは三十。この二人は大体見た目通りだ。問題は後者二人、ピーターとトムが同い年という事に衝撃を受けた。第三中隊隊長のピーターはもっと年上だと思っていたし、第四中隊隊長のトムは俺よりも五つも上だった。


「どうしました?隊長」

「いや、皆の年齢が少し意外だったからな」

「…はぁ、今更そんな事を」


 そんな事で俺は普段の訓練に双子を連れてくる事にした。双子の実力を見て、良い影響を与えてくれれば良いんだが、果たして上手くいくかどうか。

 翌日、俺は双子を連れて訓練場を訪れた。


「お前らは普段通りの訓練をしろ!」

「「「はっ!」」」


 見張りをしている部隊の中隊長、ポール以外の中隊長達に命令を出して、俺は二人に準備運動するように言う。俺も体を伸ばしたり曲げたりと準備体操をしてから双子にまず、素振りをさせる。その次は軽く筋トレさせてからその辺を走らせる。双子が走り始めてから周囲がどよめき始めた。八歳の子供にしては早すぎるスピードで走っているためだ。模擬戦を始めたあたりでは周囲に休憩していた兵士がギャラリーとなっていた。

 アリスが前衛でステラが後衛から魔法を無詠唱で放つ。俺はそれを躱し、いなし、弾いて気が付いた点を注意していく。


「さて、今日はここまでかな。お前ら!見てないで訓練を再開しろ!」


 怒鳴ると兵士達は慌てて元の位置に戻っていく。


「二人は今回の模擬戦の反省点をレポートにまとめる事」

「「え~」」


 二人は可愛く頬を膨らませているが、これは学園に入学した後に困らない為に大事な事だ。文章を書く練習は後々役に立つと思う。


(後は礼儀作法か。酒飲んでから考えよう)

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