103. 新しい友達③
ウェンディと仲良くなって数週間が経ちました。今日も三人で遊ぶ為に広場へと向かいます。今日はお母さんの手伝いをしていた為、少し集合に遅れてしまいました。
(二人ともどこだろう?)
きょろきょろとあたりを見回していると街の男の子が話しかけてきました。
「メアリー!ハンナ達が森に向かって行ったけど大丈夫なのか?」
「…え?」
ハンナが自分から森に行く事は今までありませんでした。恐らくウェンディが誘ったんだと思います。森の中には湖があり、その周辺に咲く花をハンナと二人で見に行く事が多々ありましたが、ウェンディはそれがある事を知っていたのでしょうか。
(何しに行ったんだろう?)
昨夜に降った雨のお陰か、道がぬかるんでいて二人の行った先はすぐに分かりました。足跡を辿って森の中を進んで行きます。
(どこに向かっているんだろう?)
普段向かわない先に歩いて行っているので少しずつ不安になってきます。二人は森に入った後、迷子になって帰れなくなってしまったのではないかと思い始めました。
(早く追い付かなきゃ)
背の高さまで伸びた草を分けながら進んで行きます。少し開けた場所に出た時、見た光景が衝撃すぎて一瞬頭が真っ白になりました。
「…ウェンディ……何してるの?」
そこには座って空を眺めているウェンディと地面に血を流して横たわっているハンナが居ました。
「ハンナ!」
血を流している事に気が付いた私は慌ててハンナに近づきます。ハンナを抱きかかえますが返事はありませんでした。まだ温かく生きているのか死んでいるのか私には分かりませんでした。
「森の中に入ってきちゃったんだね、メアリー」
「何があったのウェンディ。早くハンナを街まで連れて行かなきゃ」
「それはさせられないわ」
「…?」
なんでウェンディは慌てていないのでしょうか。こういう時は落ち着いた方が良いという事でしょうか。
「本当はハンナだけの予定だったけど、ごめんねメアリー」
「何を?」
私がハンナの重さに腕が痺れて少ししゃがんだ時、頭の上を何かが通り過ぎました。
「あれ、躱されちゃったか」
「…ウェ…ンディ?」
「今夜、行方不明になった私とハンナを探しに森の中に大人達は捜索に行く事になるんだよ。そこでこの村の大人達は全員死んじゃうんだけどね」
「……何の、事?」
ウェンディが言っている事の意味が分かりません。でも私は何故か寒気がして怖くなってハンナを置いて走り出しました。
(ハン、ナ、ごめん、ね)
罪悪感を抱えながら私は必死に走りました。必死になりすぎて来た道とは別の道に出てしまいました。一瞬戻ろうと思いましたが、恐怖で戻る事は出来ませんでした。
「メアリー!出てきてよ~!遊ぼうよ~!」
岩場に隠れていると今まで聞いた事の無い声で叫ぶウェンディがやって来ました。私は口に手を当てて息を潜めます。しかし走って荒れた髪から花の付いた髪留めが落ちて音が出てしまいました。
「みぃ~つけた!」
笑顔のウェンディと目が合いました。私は恐怖で動けませんでした。目をつぶっていると目の前でどさりと音が鳴りました。
(何が…起きてるの?)




