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異世界禁酒生活  作者: 田中 太郎
第三章
100/223

100. 故郷の危機

「ルーク、ブルスジルが落ちたそうだ」

「は?」


 突然の言葉に思わず素が出る。


「どういう事だ?」

「詳しい事はまだ分からないが、難民が手引きした勢力に占拠されたらしい」

「父さんや家族、それに領民は?」

「まだ分からない」


 その言葉を聞いて俺はすぐに行動を始める。


「悪い隊長。俺は戻る」

「おい、ちょ…」


 隊長の言葉を遮って、俺は街の外に向かう。武装して外に向かおうとしている為、敵と間違われて襲われそうになるのを避けながら走る。攻撃を加えられない為、ひたすら攻撃を避けて街の外に出た所で後方部隊が見えてくる。


「ルーク様?どうされたんですか?」

「ちょっと急用だ。後は頼んだ」

「え、ま、」


 後方部隊に居たクリスが俺に気が付いて話しかけてきたが軽くあしらって先を急ぐ。

 ここからブルスジルまで直線で行こうとすると障害物が多すぎる。陸路がだめなら海路か空路。海は無いので必然的に空路で行くのが一番早く着く。ただ、飛行と言うよりかは大ジャンプと言った方が良い方法だ。足の裏や背中から大量の魔力を放出して大ジャンプをする。

 一気に魔力を放出するので周りに影響が出る為、開けた草原にまず向かう。


「ルーク様、ちょっと、待ってください」

「二度は言わない。急いでいるんだ。怪我したくなかったら離れていろ」


 付いて来れないと見くびっていたが、クリスは追い付いてきた。俺はこれ以上彼に構っている時間が惜しくて少し強めに警告をする。


「違いますよ」

「は?」

「あなたに行かれると我が神はお困りになる」

「何を言っ…」


 背中の左側に強い痛みを感じる。左胸を見ると剣が突き抜けていた。クリスに後ろから刺されていた。衝撃で思考が停止する。


「お前、何を?」

「私の使命はあなたをこの地に留めておく事です」


 クリスは俺に刺さった剣を引き抜きながら意味不明な事を言い始めた。俺は剣を引き抜かれると同時に膝をつく。


「焦りましたよ、まったく。あなたが急にどこかに向かおうとするもんだから。でも、思ったんですよね。あなたの生死については何も言われて無い事に」

「誰の命令だ?」

「あなたは知らなくて良い事です。我が神の為に死んでください」


 言いたい事を言い終わったのか、クリスは背を向けて去っていく。俺はまず、血管を管のようにした魔力で繋ぐ。魔力で血管を繋いで出血を防ぎながらその後姿を見守る。


(いいやつだと思っていたのに)


 クリスとはそこまで長く一緒に居た訳ではないが、年が近い事もあって勝手に親近感が湧いていた。


(あいつとも一緒に酒が飲めると思ってたのにな、残念だ)

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