夜の遊園地へようこそ
おはこんばんにちは!
幽幻桜です!
小説家になろう様の公式企画に参加させて頂きます♪
たくさん読んでいって下さいな…♪
序章
ふわふわまあるいお菓子たち。
あまーいあまーいケーキはいかが?
あたたかくて美味しい紅茶もどうぞ。
たくさんのお砂糖をつめこんで。
やさしいミルクもそえられて。
しあわせ しあわせ。
たのしい ひととき。
喉元を通り過ぎれば……果たしてそれは、ユメかうつつか。
「夢でもいいわ!」
声を挙げたのは、小さな小さな、お菓子のお人形さん。
大きなケーキを、頬張って。
「だって、いまがしあわせだから!」
たのしい やさしい
お菓子の時間。
物語
わたしはお菓子のお人形!お名前はスフレというの。
むかーしむかし、おともだちにつけてもらった大切なお名前!
そんなわたし。気がついたら、不思議な世界に迷い込んでしまったみたい。
そこは、素敵な夜の遊園地!
わたしの知らない、ゆっくり回るお馬さんのメリーゴーランドに、ぐるぐる回る大きなティーカップ。
はやーいはやーいジェットコースターに、大きな大きな観覧車!
「わああぁぁ……!」
知らない世界。そんな世界でも、わたしの胸のどきどきは大きかった。
「これって遊んでいいのかしら……?」
わたしは好奇心の望むまま、遊園地の奥へ奥へと進んでいく。
その度に、胸はどきどき。目はキラキラと輝いていくの。
「だーれもいない……。」
不思議な遊園地は、わたし以外だれもいなかった。
もしかして、これって……!
「『貸し切り』ってものじゃあないかしら……!」
だとしたらとても素敵だわ。こんなにキラキラした素敵な遊園地、わたしがひとりじめ……!
「だったら遊びたいわ!」
どうせ誰もいない、わたしだけの遊園地!
遊ばないなんて、出来ないわ!
「まずはどれから乗ろうかしら?」
素敵な遊園地には、素敵なアトラクションがいーっぱい!
わたしは遊園地を更に奥へと進んでいく。
すると……
「あれれ~?迷い込んでしまったお人形さんが一人、いるねぇ~。」
「!」
わたしは驚きのあまり体を縮こませたわ!ビックリした……。
だけれど、その声はとても優しい声だったの。
だから、わたしは振り向いたわ。そこには……
おおきな、黒い猫ちゃんが。
「おや、驚かせてしまったかな?ごめんよ。
僕はノワール。ここの案内人さ。可愛いお人形さん。」
「あんない、にん……?」
「そうさ!僕に任せてくれれば、このひろーい遊園地を遊び尽くす案内をしてあげよう。
どんなアトラクションがお好みかな?甘~い系?それとも、思いっきり激しい系?はたまた、癒し系なんかもあっちゃったりして!」
「……!」
この遊園地を、遊び尽くす……?
……なんて。なんて!
「素敵だわ!ぜひお願いしてもよろしいかしら?」
「はは。可憐なお人形さん、懸命な判断だね!
よし!僕に任せておくれよ!
楽しい遊園地タイムを過ごそうじゃないか!」
わたしは、ノワールの言葉と共に走り出した。
楽しい、楽しい遊園地タイム!
ああ、なんて、なんて素敵な響きなの!
ノワールもわたしのとなりを走って笑っている。わたしも、笑う。
ついさっき目が覚めたばっかりなのに、わたしはすっかり、興奮していた!
「さてお嬢さん、何から楽しみたい?」
「まずは、この遊園地の一番に乗りたいわ!」
わたしはくるりと回って、わたしよりも大きいノワールに抱き着く。
「わぁ~!お嬢さん、甘くて素敵な香りだね!」
「うふふ、そうでしょう?なんていったって、わたしはお菓子のお人形だもの!」
「へぇ!それは素敵だ!
この遊園地の一番、かぁ……だとしたら……。
ここの目玉の、馬のメリーゴーランドはどうだい?
遊園地の入口からも見えるほど大きいんだよ!」
「メリーゴーランドね!
さっき見えていたわ!素敵ね素敵ね!
乗りたいわ!」
「ふふ、それじゃあ出発だ!」
わたしとノワールはメリーゴーランドへ向けて走り出す。
なんて。なんてたのしいひとときなのかしら!
「さぁ、どうぞ、お嬢様。」
メリーゴーランドに着くと、ノワールは前足で乗り口へとわたしを誘う。
「うふふ。じゃあ早速しつれいしちゃうわ!」
わたしはお馬さんのメリーゴーランドに乗る。
お馬さんにわたしが乗ると、止まっていたメリーゴーランドは、ゆっくりと回り始めた。
綺麗な音楽が響き始め、アナウンスが流れた。
『本日は、ユメノアイランドへお越し頂き、誠にありがとうございます。
夢のような、楽しい一時を、お過ごし下さい。』
ここはユメノアイランドっていうのね。
まるで、夢みたいなこの世界……とってもぴったりだわ!
「うふふっ!とっても楽しい!」
メリーゴーランドのゆっくりながれるけしきの中、わたしはとびっきりの笑顔を浮かべたのだったわ。
「おかえりなさ~い!
どうだったかな?」
「とっても、とっても素敵だったわ!
また乗りたいくらいよ!」
「はは、それは良かった。なんせ、この遊園地の一番だからね!」
本当に、さすが一番だったわ!
わたしはきっと、満足気な笑顔を浮かべていることでしょう!
「さぁ、次は何に乗りたい?」
「あれがいいわ!コーヒーカップ!」
「おや。あれがいいのかい?
分かった、じゃあ行くとしますか!」
ノワールがそう言うとわたしたちはまた走り出した。
楽しい!とっても楽しい!
コーヒーカップは、もうすぐ目の前!
ぐーるぐーる。
ぐーるぐーる。
コーヒーカップに辿り着いたわたしたちは、ノワールに乗り方を教えてもらってさっそく遊び始める。
ぐーるぐーる。
……けれど、なんだか少し……
「つまらないわ。」
ただゆっくりとながれるけしき。これはさっき、メリーゴーランドで見たわ。
「……そうだわ。」
ノワールは、この真ん中のテーブルを回すとかいてんが速くなるって言ってたわね。
それなら~~~~!
グルグルグルグル~~~~!
わたしは、おもいっきり全身のちからを使って真ん中のテーブルを回す。
すると……
グルグルグルグル~~~~!
コーヒーカップも、おんなじように速く回り始めた!
「きゃははははは!」
楽しい!とっても楽しいわ!
さっきのとは比べ物にならないくらい速く回ってとっても楽しい!
「おーい、あんまり速くしすぎないように~……って、聞いてねーか、ありゃ。」
「た、たのじ、かった、わ……。」
「お嬢ちゃん大丈夫ー?」
ちょうしに乗って速くしすぎたわ……目の前がぐわんぐわんする……。
「少し休憩でも入れるかい?」
「だ、大丈夫……!」
「そうかい?なら、次は癒し系のアトラクションにしようか!」
お読み下さりありがとうございました!