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ハイペリオン戦記  作者: 松本 ゆうき
第10章 妖精の国
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第71話 弾体

 クイーン・ハイペリオンがいる位置を囲むようにして、ブロデアは部隊を3つに分けて迫っていた。

 いかに強力なメックといえども、20対1では勝ち目はない。撃墜されるか、ヴリル・エネルギーは尽きて動けなくなってしまう。

 勝利は目の前だ。疑いようもないくらい、確実な勝機が見えている。

 しかし、ベルグはどこか不安を払拭できないでいた。

 確かに完全に包囲されているわけではない。それは、カミラが意図的に抜け道を作っているからだった。

 彼は何度もシミュレーションを繰り返していた。


 包囲されそうになったクイーン・ハイペリオンは、包囲網の抜け道を通って後退するはず。広い場所に出たところで完全に包囲して捕獲、もしくは破壊する。

 広い場所に出るのは、1つは罠を警戒しての行動だ。メックの足元に木々があると動きも悪くなり、目視も困難になることから罠を仕掛けられる可能性がある。

 もう1つは、増援の把握だ。見通しがいい場所に出れば、敵の増援が近付いてきたときにすぐに分かり、余裕を持って対処できる。

 仮にクイーン・ハイペリオンが強すぎて歯が立たなければ、わざと戦闘を長引かせてしまえばいい。


 戦力的にも、決して劣っているわけではない。

 ブロデア帝国の第三世代メック・ヴァーレイアは、1年前のフォルネの戦いで投入された初期型の第三世代機の量産型である。ただ、量産といっても性能的には初期型よりもやや優れており、今回の戦いに投入しても十分に戦果を発揮することは予想できる。

 おまけに、第三世代メックを扱えるように、デュナミスの訓練にも力を入れていた。


 数、作戦、デュナミス。この3つを揃えて、他になにを望めばいいのだろう。

 だが、不安を取り払うことができない。


『ベルグ』

 カミラからの秘匿通信が入った。

『動きがおかしいぞ』

 周囲を警戒し過ぎるあまり、動きにそれが現れたのだろう。

 他の者には聞こえないように秘匿通信になっている。

「不安なのです」

 ベルグは思い切って言った。

『不安?』

「はい……なんとも言えない不安がするのです」

『この作戦、なにか問題があるのか?』

「分かりません。準備も作戦も完璧だと思います。ですが、どうしても不安を拭えないのです」

 カミラはしばらく黙り、

『その不安はなんだと感じる?』

 と問うてきた。

「相手がハイペリオンゆえ……でしょうか」

 ベルグはそう答えることしかできかなった。

『なるほどな。分かった、私も前に出よう』

 通信を切り、レーダー上のカミラのメックが前方に侵攻を始めたときであった。


 ベルグの眼前に、複数のアラートが表示される。

<高速で飛来する弾体を確認>

 その言葉の意味を理解する前に、彼の真横を何かが通り過ぎた。

 直後、轟音とともに部下のメックが後方へ吹き飛ばされる。

「身を低く!」

 部下に指示を出すと、吹き飛ばされた部下のメックの元へ向かう。

 装甲も破損しておらず、稼働に問題はなさそうだ。

「大丈夫か!」

『動けます!』

「何があった!?」

『何かがぶつかってきたような感じです!』

 再度、アラートが表示され、今度は複数の弾体を確認した。

 飛来する弾体の1つがベルグのメックにも激突する。

 胸部に強烈な圧迫を感じながら、ベルグは後方へと倒れ込む。


 ――これは狙撃か!


 立ち上がろうとすると、さらに撃たれ、ベルグの部隊の動きは止まった。

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