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ハイペリオン戦記  作者: 松本 ゆうき
第10章 妖精の国
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第70話 クイーンの起動

「ブロデア軍、フォルネ平原へと進軍」


 この報告を聞き、クイーン・ハイペリオンの出撃準備をしていた者たちに緊張が走った。

 大急ぎでヴリル・エネルギーを補充しているが満タンにはなりそうもなく、特殊超合金性の装甲の一部は付けられていない。それでも各関節のチェックはなんとか終わりそうだが、完璧な状態にはほど遠い。


 コンスタンも関節の稼働チェックに追われていた。

 レディスト王国陥落の際、エルフェン共和国へと亡命したコンスタンに目を付けたのはレニだった。

 コンスタンはレディストでメックの開発者をしており、ヴェルシュナーから逃れてきたハイペリオンを捕獲したときにその場にいた。砦はハイペリオンが暴れたせいで戦闘能力を失い、その後にやってきたイルマ・ハイゼの兵によってあっという間に占領されてしまったが、早めに逃げたおかげでブロデア軍の捕虜にならずに済んだ。

 その後偶然レニと再会し、開発者としての経験を見込まれて仕事を得た。


「コンスタン、関節の具合はどう?」

 ダイバースーツに身を包んだレニがコンスタンに話しかける。

「問題ありません、正常に動作します。もう少し時間があれば調整してより動きやすくもできるのですが」

「いいえ、ちゃんと動けばいいのです」

「それより、ダイバースーツはどうですか?」

「ええ、少々きついですが、悪くありません」

 ダイバースーツはコンスタンが開発したもので、デュナミスのサイコダイブ能力を高め、メックへの情報伝達速度を向上させる機能がある。それだけでなく、小型の通信機や1週間程度の生命維持装置なども備えており、メック撃墜後のデュナミスを保護する目的で作られた。

「体のラインが出てしまっているのが恥ずかしいです」

 年頃の女の子なら恥ずかしがって当然だろう。

 優れた機能を持っている代わりに、スーツはぴったりと体についている。スーツの機能を最大限に利用するために、隙間ができてはいけない。結果として、ボディラインがはっきり分かるようなデザインになってしまった。

「機能を優先するためです」

 メックに手を加える時間はなかったから、それ以外の部分で性能を向上させる必要があった。

 ダイバースーツを着用することで、ある程度でもメックのポテンシャルを引き出すことができるはずだ。

「いままでありがとう、コンスタン」

「拾っていただいた恩をお返ししたまでです」

「あなたはこれからどこへ行くの?」

「各地で自由レディスト軍なる組織が結成されているようですが、私はレディストから逃げ出してきた身ですから、果たして受け入れてもらえるかどうか……」

「なら、海を渡ってグレートアロンに?」

「そうですね。このまま大陸にいても仕方ありません」

 コンスタンにとって、所属はどこでもよかった。メックの傍にいられればそれでいい。

「レニ様はどうなさるのです?」

「私も海を渡ります。とりあえずはグレートアロンに向かいますが、海の向こうのアストラ合衆国とも交渉をしなければならないでしょうから、しばらくは落ち着けなさそう」


 やがてヴリル・エネルギーの充填が完了した。

 備蓄のエネルギーでは、満タンにすることはできなかった。戦闘に耐えられるほどではないが、動かすことは可能な量だ。

 レニが胸部のダイバールームへと乗り込む。

「出撃します! クイーン・ハイペリオンが時間を稼ぎますから、みなさんはここから離れて!」

 クイーン・ハイペリオンが起動した。

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