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ハイペリオン戦記  作者: 松本 ゆうき
第8章 東方からの使者
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第61話【幕間】神秘の国ヤーパン

[チャールズ・スローン著『東方見聞秘録』より抜粋]


 東方の国々は、我々にとってまったく未知の文化を持っている。特にやーパンにおいては、長い間他国との国交を厳しく制限していたこともあり、独自の文化を形成している。


 私がもっとも驚いたのは、彼らの中に「ブシドー」というものが未だに根付いていることだった。

 ヤーパンの人々から多くの話を聞いてきたが、「ブシドー」の話をするときは、みんなが一様に背筋を伸ばす。ここにヤーパンという国の本質があるのではないか、と考えたが、結局最後まで分からなかった。

 ある人は「死ぬことがブシドー」と言い、ある人は「生き方がブシドーである」とも言う。我が国における騎士道とはまるで違った考え方のようだ。


「ブシドー」が元になって生み出されたのが「サムライ」と「ニンジャ」だ。

 これは私が著作で取り上げたことで、広く知られるようになった。

 盾を用いず、一閃のもとに相手を斬り伏せるサムライ。水の上を走り、闇夜を音もなく駆けるニンジャの姿は、我が国では「誇張である」として、一時期問題にもなった。


 彼らは実在する。

 その多くがデュナミス能力を有しており、まるで奇跡のような技を見せる。

 その中で、私が1番驚いたのは「多重分身攻撃」という技だった。

 分身で目をくらませる技は、古くからデュナミスが使ってきた技だが、多重分身攻撃は実体を持っている。そのうえ、分身はそれぞれで別の動きをすることができる。

 つまり、1体の分身を生み出せば、戦力は2倍になる、ということだ。

 私はフジワラという人物にその奥義を見せてもらった。当主の男性は、3体の実体を持った分身を見せてくれた。私は彼の分身それぞれと握手までしたのを覚えている。


 帰り際、裏庭で遊んでいる少女を見つけた。

 1人で遊んでいるように見えたが、よく見ると実体を持った分身を自ら生み出して遊んでいた。

 こんな少女さえ奥義を使えるのか、と私は恐ろしくなった。


 少女も今では大人になっているだろう。もう結婚したのかもしれない。

 もし軍に入ったのなら、彼女とは刃を交えないほうがいい。

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